2025/08/03
価格差は7倍、12万円の席も 花火大会は“格差時代”? 静岡県でも有料席完売
■半数以上の花火大会で値上げ プレミアム席の平均価格3万6193円
全国の主要花火大会で有料席の値上げが加速している。有料席を設けた花火大会では、半数以上が値上げを実施。プレミアム席の平均価格は3万6193円で、一般席との価格差は約7倍に達する「二極化」が鮮明になった。静岡県内でも有料席を設けた花火大会が開催されている。
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民間の調査会社・帝国データバンクによると、有料席を設けた今年の花火大会は全国で83に上り、前年から3大会増加した。そのうち半数を超える42大会で値上げし、36大会が価格を据え置いた。プレミアム席の平均価格は3万6193円に達し、最も安い一般席の6.92倍。これは、データのある2019年以降で最も大きな価格差となった。
今年の有料席の中で最も高額だったのは、島根県の「松江水郷祭湖上花火大会」で販売された1区画12万円のVIPテーブル席(4人用)。こうしたプレミアム席の価格は、2023年の30万円をピークに落ち着きつつあり、現在は3万〜5万円台が主流となっている。
価格上昇に伴い、販売面では明暗が分かれている。体験価値やロケーションに見合った価格であれば売れる一方、「割高感」が拭えない席は売れ残る傾向もみられた。今後は、価格と体験のバランスを探る動きが一層求められそうだ。

ふくろい遠州の花火の有料イス席
■静岡県内でも有料化の動き ふくろい遠州の花火は全席完売
静岡県内でも主要な花火大会で有料化の動きが進んでいる。7月26日に袋井市で行われた「ふくろい遠州の花火」は4人まで利用可能なファミリー席が2万4000円。他にも、撮影に特化したカメラ席が1万5000円、イス席7500円など5種類の席を用意。チケットは全席で完売した。
7月26、27日に沼津市で開催された「狩野川花火大会」でも、有料観覧席が設けられた。プレミアム席(4人までのテーブル席)は3万円、その他1マス(6人まで)1万円台の席が3種類あった。
チケット高額化の背景には、警備員の人件費や花火の費用など、運営コストの上昇がある。大会の継続を目的に、有料化に踏み切るケースも多いという。一方で「地元なのに見られない」といった住民の声も散見され、有料化を巡る賛否が広がっている。
花火大会は地元経済への貢献を重視する一方で、地域住民への配慮も課題となっている。市民向けに無料招待席を設ける大会もあるが、誰もが気軽に楽しめる“夏の風物詩”の在り方は変化の岐路に立たされている。
(SHIZUOKA Life編集部)