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2025/08/18

脱毛サロン倒産が前年比3倍 「ミュゼプラチナム」破産で過去最多を大幅更新へ

■脱毛サロン・クリニック 今年1~7月の倒産件数12件

脱毛サロンの倒産件数が前年比3倍のペースで増えている。8月18日には国内最大級の脱毛サロンで、静岡県内にも店舗を構えていた「ミュゼプラチナム」を運営していた東京都のMPHが東京地方裁判所から破産開始決定を受けており、通年の倒産件数は過去最多を大幅に更新するとみられている。

 

美容室の倒産件数も過去最多を大幅更新 経営を苦しめる”三重苦”とは

 

帝国データバンクによると、今年1~7月に倒産した脱毛サロン・クリニックは12件で、前年同期の3倍に増加した。2023年以降、「銀座カラー」や「アリシアクリニック」、2025年初旬には「トイトイトイクリニック」といった知名度の高い事業者が相次いで破産。さらに、MPHを含めると過去2年間で延べ約50万人の利用者、3000人を超えるスタッフが影響を受けたとみられる。

 

脱毛サロン事業者の多くは著名タレントを広告に起用し、コース契約による前受金で事業を拡大してきたが、集客のために前受金を広告費へ充当するケースも多く、新規契約の減少とともに経営が行き詰まった。結果として「契約通り支払ったのに施術が受けられない」という被害が拡大した。

 

業界全体では「多額の広告費と前受金ビジネス」、「固定費・販管費の増大」、「価格競争による消費マインド低下」の“三重苦”に直面している。昨年度には事業者の約4割が赤字となり、半数超が業績悪化に陥った。

 

都市部での賃料高騰や円安による機器コスト増、人材不足による人件費の高止まりも経営を圧迫している。加えて利用者の不信感が強まり、再来店率や会員継続率が低下、新規顧客の獲得も難しくなっていた。帝国データバンクは「広告宣伝と高額コース依存のビジネスモデルは限界に達しており、業界全体の信頼回復に向けた取り組みが急がれる」としている。

 

■ミュゼプラチナム破産 負債総額260億円の見通し

8月18日には全国に約170店舗を展開する「ミュゼプラチナム」を運営するMPHが、東京地方裁判所から破産開始決定を受けた。債権者は未施術の顧客を含め約20万人、負債総額は約260億円に上ると見込まれている。

 

MPHは前身のジンコーポレーションが「通い放題」など安価なサービスで急成長し、2014年8月期には売上高386億円超を計上した。しかし、顧客からの前払金を一括計上する不適切な会計処理や、予約困難に伴う解約急増で経営は悪化。2015年にミュゼプラチナム(現MIT)へ事業を移管し、その後はRVHやG.Pホールディング、FUNAI GROUPの傘下を経るなど親会社の変更が続いた。

 

2024年には新設分割でMPHが設立され事業を引き継いだが、業況悪化に歯止めがかからず、従業員への給与未払いも発生した。今年2月には経営権を巡る対立が表面化し、3月には全店の一時休業を発表していた。

 

「ミュゼプラチナム」は静岡市や浜松市にも店舗を構え、地元の利用者にも広く親しまれてきた。今回の破産により、都市部だけではなく地方の顧客への影響も避けられない見通しだ。

 

SHIZUOKA Life編集部)

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