2025/09/19
静岡県で3人目の死者 感染者数も過去最多更新 マダニ対策と受診のサインは?
■マダニが媒体する「SFTS」 90歳男性が死亡
静岡県内でマダニが媒介する「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」による死者が相次いでいる。新たに90歳代の男性が亡くなり、今年の県内死者は3人目となった。感染者数は年間の過去最多となる7人に達し、県は「誰もが感染し得る危険な病気」として強い警戒を呼びかけている。発熱や体調の異変を見逃さないことが命を守るカギとなる。
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静岡県は18日、県内でマダニが媒介する感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の患者が新たに確認され、賀茂保健所管内に住む90歳代の男性が死亡したと発表した。今年の感染者は7人となり、これまでの年間最多(2022年の6人)を上回った。
この男性は9月1日に発熱して入院した。その後も症状が改善せず転院を経て検査を受け、7日にSFTSと診断された。同日、死亡が確認された。発症前には農作業をしていたといい、マダニに咬まれて感染したとみられる。ペットの飼育や動物との接触は確認されていない。
SFTSは6〜14日の潜伏期間を経て、発熱や消化器症状、全身の倦怠感などを引き起こす。重症化すると致死率は高く、国内外で死亡例が報告されている。静岡県では2021年に初めて確認されて以降、毎年3~6人の患者が出ていた。

春から秋にかけて活動するマダニ
■肌を露出しない服装で対策 発熱や発疹が早期受診のサイン
県はマダニが活動する春から秋にかけて特に警戒が必要だと強調する。野山や草むらに入る際は、耳を覆う帽子や長袖・長ズボンを着用し、裾や袖口からの侵入を防ぐことが大切だという。市販の忌避剤もあるが、完全には防げないため複数の対策を組み合わせる必要がある。
さらに、屋外活動後は入浴時に全身を確認し、マダニに咬まれていないかチェックすることが重要だという。咬まれていた場合は無理に取らず、速やかに医療機関を受診して「マダニに咬まれた可能性がある」と伝えることが求められる。発熱や発疹、強い倦怠感といった症状が早期受診のサインとなる。
また、犬や猫に付着したマダニが家庭内に持ち込まれることもあるため、ペットへのダニ駆除剤の使用や健康管理も欠かせない。県は「人だけでなく動物を通じた感染経路にも注意を払ってほしい」としている。
県内で感染者と死者がともに過去最多を記録したことで、SFTSは「身近な脅威」となりつつある。県は「誰もが感染のリスクにさらされている」として、住民一人ひとりに徹底した予防行動を求めている。
(SHIZUOKA Life編集部)