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2025/12/03

700文字の“再反論” いつまで応酬続く? くふうハヤテのネーミングライツ騒動

■くふうカンパニーHDとハヤテ223 主張が真っ向対立

着地点や和解案が見えない。プロ野球くふうハヤテベンチャーズ静岡を運営する「ハヤテ223」と資本業務提携の契約解除を通知した「くふうカンパニーホールディングス」は、ネーミングライツをめぐって主張が真っ向から対立している。「ハヤテ223」から反論を受けた「くふうカンパニー」が反論し、事態は泥沼化している。

 

ネーミングライツ問題で揺れる「くふうハヤテ」 新入団選手14人を発表

 

問題が表面化したのは、11月28日だった。くふうハヤテを運営する「ハヤテ223」とネーミングライツを含む資本業務提携を結ぶ「くふうカンパニー」が、公式ホームページで以下のように発表した。

 

「ハヤテ223がネーミングライツの重要な一部契約不履行であったため、ハヤテ223に対して抗議し、本契約不履行の解消を求めて協議を続けてまいりましたが、合意に至らず、当社はハヤテ223に対し、資本業務提携契約書の解除を通知いたしました。なお、相手先の概要については、同意がとれていないため記載しておりません」

 

これに対し、ハヤテ223は2日後に公式ホームページで反論した。くふうカンパニーが主張する「ネーミングライツの不履行」を全面的に否定した。

 

「当社は本契約を適切に全うしております。球団名にライツホルダー社名を冠して2025シーズンも無事に満了いたしました。しかしながら、いまだ当社は本ライツ料の支払いを受けておりません。また、上記球団名が維持された状態をシーズンを通じてご提供した後に、不払いのまま一方的な本契約解除の告知を受けたことに困惑しております」

 

「このような不払いを含む一連の事態は、夢を信じて新たな球団に集まった若者の挑戦を阻害する行為であり、悲しみを禁じ得ない。なお、本契約の帰趨にかかわらず、当社が当球団を運営していくことに変わりはなく、その影響はございません。2026年シーズンに向けて、新入団予定選手を含む編成についてのご報告は本年12月初旬より随時行って参ります」

新入団選手会見で披露された「くふうハヤテ」のユニホーム

■「債務不履行そのもの」 くふうカンパニーが再反論

両者の意見は真っ向から対立している。そして、くふうカンパニーはハヤテ223の反論に反論するコメントを12月1日に発表した。以下の通り見解を示している。

 

「一部契約不履行に関する具体的な内容の主な点はユニフォームの胸や帽子、看板、旗などに表示される球団マークにおける表記です。当社はハヤテ223社との間で、資本業務提携契約を締結し、ネーミングライツを付与されておりました。その内容は球団名である『くふうハヤテ ベンチャーズ』を当社が定められる権利であり、略称である『くふうハヤテ』、愛称の『ベンチャーズ』の利用について合意しておりました」

 

「しかしながら、実際に使用されているユニフォームの胸表示や帽子、その他看板や旗などに表示される球団ロゴはここで定められた球団名とも愛称とも無関係の、自ら運営する投資ファンドの名称である『HAYATE』か、この『HAYATE』から採用された『H』であり、『くふうハヤテ』或いは『ベンチャーズ』という表記は一切利用されませんでした」

 

「ある意味最も露出が伴うともいえるロゴ掲出に球団名も愛称も使用しないという行為は、従来の野球界の通例では考えられないことであり、ネーミングライツの債務不履行そのものです。球団とは無関係である自らの投資ファンド名を使うことで私的流用を行っているとみなさざるを得ません」

 

「本件についてハヤテ223社は、『球団に集まった若者の挑戦を阻害』するものと表明されていますが、上記の債務不履行、私的流用を行なっていることこそが『球団に集まった若者の挑戦を阻害』するものです。当社はこれまで、ハヤテ223社に対し、球団名あるいはそれに準ずる表記に是正するよう2シーズンにわたり度重なる要請を行ってまいりましたが、残念ながら誠実な回答が得られず、改善の見込みもないことから、これ以上の契約継続は困難であると判断し、解除を通知いたしました」

 

■両者の認識にずれ 「野球界の通例」が原因か

約700字に及ぶ反論には、くふうカンパニー側の怒りがにじんでいる。ハヤテ223との和解は、話し合いでは難しいと感じさせる。なぜ、両者の認識は大きく異なるのか。スポーツ紙の記者は、くふうカンパニーの反論コメントの中にある「従来の野球界の通例」という言葉に注目する。

 

「くふうカンパニー側からすると、NPBの他の球団や独立リーグの球団を見て、ユニフォームなどにスポンサー名を入れるのが通例だと捉えているのだと思います。一方、ハヤテ223側はスポンサー名を入れる場所が明確に契約書に書かれていないのであれば、どこに入れるかは自分たちに任されていると認識したと考えられます。この認識のずれが問題の根底にあり、両者ともプロスポーツに関する経験が浅いことから詰めの甘さが露呈したと言わざるを得ません」

 

反論に反論する現状は、お互いが歩み寄るのは難しく見える。66年ぶりに誕生したプロ野球チーム「くふうハヤテベンチャーズ静岡」は、創設から2年で早くも難題に直面している。

 

SHIZUOKA Life編集部)

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