2025/12/27
訪日客は過去最多ペースなのに…中国人は減速 “依存度”全国トップの静岡県への影
■訪日外国人は韓国が最多 2位の中国は前月から2割以上減少
外国人観光客の構図が大きく変わってきた。訪日外国人は過去最多ペースで伸びている一方、中国人観光客は減速している。外国人宿泊客に占める中国人の割合が全国で最も高い静岡県では、ホテルの一時休業や団体客の激減などの影響が現れ始めている。
高市総理の発言を発端にした中国の渡航自粛は逆風? 日本経済に「むしろ好機」の声も
日本を訪れる外国人観光客は増加が続いている。日本政府観光局によると、今年11月の訪日外国人数(推計値)は351万8000人で、前年同月比10.4%増となった。1~11月の累計は3906万5600人に達し、すでに年間で過去最多を更新している。
一方、中国人観光客の動きには陰りが見えている。11月の訪日客数は56万2600人で、前年同月比では3.0%増にとどまった。10月と比べると2割以上減少しており、2025年に入ってから単月の増加率、人数ともに最も低い水準となった。
国・地域別では、韓国が82万4500人(前年同月比10.0%増)で最多。中国が続き、台湾が54万2400人(11.1%増)、米国が30万2500人(22.2%増)と欧米を中心に高い伸びが目立つ。全体としては欧米豪や中東などが訪日客数を押し上げている。

外国人観光客に人気の富士登山
■外国人宿泊客に中国人が占める割合 静岡県は全国トップ
オーバーツーリズムの問題は指摘されているが、観光客の増加は日本経済にとってはプラスに働く。ただ、静岡県は他の地域と少し事情が異なる。観光庁のデータによると、静岡県は外国人宿泊客に占める中国人の割合が2019年は7割を超え、今年1~9月でも45%と全国で最も高い。
静岡県は富士山をはじめ、大室山やアウトレットなど、中国人に人気の観光地が多い。さらに、東京と大阪・京都の中間地点にあることや、富士山静岡空港から定期便が出ていることも中国人観光客の集中につながってきた。
しかし、日中関係は高市早苗総理による台湾有事を巡る国会答弁をきっかけに緊張が続いており、その影響は県内観光産業にも出始めている。鈴木康友知事は今月の定例会見で次のように述べている。
「影響につきましては現在、色々と調査や聞き取りをしています。中国人の団体客受け入れが多い一部のホテルでキャンセルなどが出ていますが、影響は限定的とみています。輸出や中国本土の経済活動に影響が出ていないか引き続き聞き取りや調査をしていきたいと思っています」
■団体客がキャンセル 宿泊や観光施設に打撃
県内の宿泊施設は、中国人観光客の減少を実感している。団体客のキャンセルが相次ぎ、客室の稼働率が1ケタになったホテルもある。団体客が大幅に減り、売上の落ち込みを嘆く観光施設や飲食店もある。
鈴木知事は「日中関係は緊張関係にあります。これまでも時々、こうした事態が生じていました。中国は日本にとっても非常に大事な国。外交を通じて、今の関係を早く改善するように政府として最善の努力をしてほしいと思っております」と話している。
日本政府観光局の調査では、訪日客数が過去最多ペースで推移する中、中国市場への依存度が高い地域ほど影響を受けやすい傾向がある。
日本政府観光局の調査では、訪日客全体は過去最多ペースで推移する中、中国市場への依存度が高い地域ほど影響を受けやすい構図が浮き彫りになっている。訪日客の国・地域構成が変化する局面に入り、静岡県は観光産業の在り方が問われている。
(SHIZUOKA Life編集部)








