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2026/03/18

センバツで甲子園初のDH制 春夏連覇の主将が語る高校野球の変化 7回制やビデオ判定は…

大阪桐蔭高校時代の水本さん(本人提供)

3月19日から、選抜高校野球大会が始まります。静岡ライフで連載している大阪桐蔭高校野球部元主将・水本弦さんのコラム、今回のテーマは高校野球に次々と導入されている新しい取り組みについてです。今春のセンバツでは公式戦で初めて、指名打者(DH)制が採用されます。水本さんはチームにも高校野球ファンにもプラスに働くと期待を寄せています。

 

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■甲子園で初めての採用 今春センバツから「DH制」

WBCはベネズエラの初優勝で幕を閉じました。あす3月19日はセンバツ高校野球が開幕します。私の母校・大阪桐蔭高校は2024年の夏以来、3季ぶりの甲子園出場です。

 

今大会では、公式戦で初めてDH制が導入されます。高校野球は近年、大きく変化しています。投手の球数制限や低反発バット、タイブレークや暑い時間を避けた二部制など、私が高校球児だった十数年前になかった新たな取り組みやルールがいろいろと導入されています。

 

DH制は個人的に賛成です。投手の負担軽減や選手の出場機会拡大につながります。最近は「エースで4番」が減っている印象はあるものの、高校野球は投手が打線で中軸を担うチームが少なくありません。DHを使うのか、投手が打席に入るのか。チームの選択肢が増えるのはプラスに働きますし、観戦する側としても戦術の幅を楽しめると思います。

 

高校野球のDH制も、いわゆる「大谷ルール」が採用されます。高校野球では降板した投手が内野や外野の守備に就き、再登板するケースがよくあります。各校の監督は様々なパターンを想定するはずです。今回のセンバツでは、DHの使い方が勝敗を左右する場面が見られるかもしれません。

中学で出張指導する水本さん(本人提供)

■議論進む「7イニング制」 元に戻す難しさ指摘

DH制とともに検討されてきた新たなルールには、「7イニング制」もあります。今大会は導入されず、議論は継続しています。時代の変化に合わせて、野球にも変化が必要です。ただ、7イニング制は慎重に進めてほしいと思っています。

 

イニング数を一度減らすと、9イニングに戻すのは難しくなります。例えば、ビジネスに置き換えると、給料を変えずに労働時間や勤務日数を一度減らし、その後に「やっぱり元に戻す」というのはハードルが高いです。

 

7イニング制にするのであれば、根拠や理由を明確にして、選手や関係者の理解を深める必要があります。選手の熱中症対策の一環で試合時間を短縮する目的であれば、甲子園でも7回コールドを導入するなど、先に検討した方が良い別の手段があると考えています。

センバツ高校野球は3月19日開幕

■ビデオ判定はメリット 大阪桐蔭・西谷監督は判定に…

賛否が分かれているビデオ判定の導入も今後、議論されるテーマの1つです。すでに採用している日本や米国のプロ野球を見ると、ビデオ判定は甲子園に取り入れても良いと思っています。昨夏の甲子園でも映像で見直したいプレーはありましたし、私が選手の時もジャッジに疑問を感じる場面はありました。高校野球は投手の球速や打球速度、プレー全体のスピード感が上がっています。人間の目だけで全てのプレーを間違いなく判定するのは簡単ではありません。

 

高校時代は判定によって勝敗が左右されるとは思っておらず、仮に自分たちに不利な判定となっても試合には勝てると自信を持っていました。それでも、野球には流れがあるので、得点に結びつかなくても1つのプレー、1つの判定が影響する可能性もあります。

 

審判の判定に関しては、私の恩師・西谷浩一監督が怒った記憶がありません。審判に伝令を出すケースはありましたが、不満を言ったり、判定を覆そうとしたりする目的ではなく、判定の内容や理由を確認するだけでした。審判に対して「しっかり見ていますからね」とメッセージを伝えるイメージです。

 

ここ数年、高校野球のルール変更は加速しています。これまでのやり方を変えると、必ず反対意見も出てきます。しかし、時代に合わせた変化自体は歓迎すべきことだと思っています。どんな問題や課題を解決するための変更なのか、誰のためのルールなのか。明瞭な目的や理由が示されれば、「改悪」ではなく、「改善」へと向かっていくはずです。

 

<プロフィール>

水本弦(みずもと・げん)

1995年2月23日生まれ。石川県野々市市出身。小学2年生の時に野球を始め、中学時代は白山能美ボーイズで全国大会に出場した。大阪桐蔭高校では3年生で主将を務め、甲子園で春夏連覇を達成。亜細亜大学でも主将を任され、リーグ優勝5回、日本一2回。東邦ガスではけがに苦しみ、2021年に現役引退。2023年5月に「株式会社Ring Match」を設立。野球経験者に特化した人材紹介、野球塾の運営、バットの開発・販売、就労継続支援B型事業を手掛ける。

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