2026/05/16
「1円でも安く」 長引く物価高でスーパーに“地殻変動” 浜松の激戦は全国の象徴か

静岡県内でも店舗を拡大しているトライアル(サンストリート浜北公式HPより)
■浜松市は“スーパー激戦区” 直近1~2年で出店相次ぐ
毎日の食卓を支えるスーパーマーケットで今、“地殻変動”とも言える変化が起きている。少しでも安く買いたい――。長引く物価高で消費者の節約志向が強まる中、低価格を武器にしたディスカウントスーパーの勢力拡大や再編が全国で加速。静岡県内でも、その波が確実に広がっている。
なぜ安い? 3月に浜松市で新店舗をオープンしたスーパー「カネスエ」
食品や日用品の値上げが続く中、スーパー各社は価格競争力を高めるため、店舗拡大や新業態への転換を急いでいる。大手チェーンによる再編や買収の動きも相次ぎ、業界の勢力図は大きく変わり始めている。
特に変化が目立つのが、静岡県西部の浜松市だ。ここ1~2年で全国チェーンやディスカウントスーパーの出店が相次ぎ、“スーパー激戦区”とも言える状況になっている。
象徴的な出来事となったのが、「西友浜北店」の閉店だった。地域の台所として親しまれてきた店舗だったが、今年1月に18年の歴史へ幕を下ろした。
その跡地には、新たな勢力が進出した。今年4月、九州発のディスカウントスーパー「メガセンタートライアル浜北店」がオープン。24時間営業を打ち出し、売り場面積は約8000平方メートルと県内最大規模のトライアル店舗となった。

浜松市で3店舗目となった浜松中郡店(公式Xより)
■経営効率化や再編 スーパー業界で加速する生き残り競争
トライアルは、AIカメラやセルフレジ機能付きの買い物カートを活用した“省人化店舗”としても知られる。人件費を抑えることで低価格を実現し、東海エリアで急速に店舗網を広げている。
浜松市では、このトライアルだけではない。愛知県を地盤とするスーパー「カネスエ」や「フィール」も相次いで出店。さらに、食のテーマパークを掲げる「ベイシアFoods Park浜松中田島店」もオープンして話題を集めた。ベイシアの静岡県内への新規出店は約10年ぶりとなった。
こうした背景には、スーパー業界全体で進む生き残り競争がある。人件費や物流費、光熱費の上昇が続く中、各社は経営効率化を急いでいる。イオンはグループ内再編を進め、ダイエーの関東事業などを統合。ドン・キホーテを展開するPPIH(パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス)も、スーパー事業の強化を進めている。
それに対して、ディスカウント勢は「安さ」を前面に打ち出す。例えばトライアルは、省人化によるコスト削減を価格へ反映。カネスエも、店舗内調理を減らして専用センターで一括加工することで、低価格を実現している。

愛知県に1号店がオープンした「ロビン・フッド」
■安さと利便性 物価高で消費者の志向に変化
さらに話題となっているのが、ドン・キホーテの新業態「ロビン・フッド」だ。愛知県あま市に1号店が誕生し、「スーパーのようでスーパーではない店」を打ち出して注目を集めている。食品を強化しながら、ドンキらしい低価格や大容量商品を展開。浜松市中心部から車で約1時間半という距離にあり、週末のまとめ買い先として関心を集める可能性もありそうだ。
消費者側の変化も大きい。買い物客からは、「1円でも安い店を探している」、「スーパーを使い分けるようになった」、「24時間営業は助かる」といった声も聞かれる。かつては近所のスーパーを利用する人が多かったが、今では「どこが安いか」、「どこが便利か」で店を選ぶ時代になりつつある。
浜松市では現在、ロピア、トライアル、カネスエ、フィール、ベイシア、マックスバリュ東海などが競い合う形となっている。価格、大容量商品、営業時間、総菜、利便性――。各社が打ち出す特徴も、以前より鮮明になってきた。
物価高が続く中、消費者にとっては選択肢が増える歓迎すべき動きとも言える。一方で、この価格競争の先にさらなる業界再編が待っている可能性もある。浜松で起きているスーパー競争は、全国で進む“物価高時代の店選び”を象徴する動きになりつつあるのかもしれない。
(SHIZUOKA Life編集部)








