2026/06/10
御殿場アウトレット近くに“道の駅的”新拠点 なぜ道の駅にしない? 計画の内容は?
■2030年開業へ 「富士山の恵み産業パーク(仮称)」
年間約1500万人の観光客が訪れる静岡県御殿場市で、新たな観光拠点の整備計画が進んでいる。市が2030年12月の開業を目指して基本構想をまとめたのは、国道138号沿いに整備する「富士山の恵み産業パーク(仮称)」。御殿場プレミアム・アウトレットの近くに、地場産品の販売や飲食、芝生広場などを備えた“道の駅的施設”を整備する構想だ。
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御殿場市は、アウトレットや御殿場高原時之栖などを抱える県内有数の観光地となっている。一方で、市の観光特性として、特定の施設に立ち寄った後、そのまま市外へ出てしまう「通過型観光」が課題となっている。新施設には、観光客を市内の周遊や滞在につなげ、地域経済の活性化や関係人口の拡大を図る役割が期待されている。
整備予定地は、東名高速道路御殿場インターチェンジ(IC)周辺の国道138号沿い。伊豆・箱根や富士五湖方面への玄関口にあたり、御殿場プレミアム・アウトレットなど主要観光施設にも近い立地となる。
施設のコンセプトには「富士山の麓で、水のめぐみを未来へつなぐ交流創造拠点」を掲げる。御殿場市は、富士山からの伏流水を地域資源の1つと位置付けており、その水の恵みを受けた御殿場コシヒカリ、わさび、水かけ菜などの農産物・特産品を生かした施設づくりを目指している。
基本構想では、富士山の眺望を楽しめる多目的芝生広場、地場産品や特産品を扱うマルシェ、飲食店やカフェ、観光情報を発信する拠点などを導入機能として検討している。高速バスなどの交通拠点としての機能や、市内の酒を楽しめる醸造関連の機能も想定されている。

富士山の恵み産業パーク(仮称)の完成イメージ(御殿場市HPより)
■道の駅的な機能持つ施設 道の駅にしない理由は?
市民や来訪者を対象にしたアンケートでは、施設に求める機能として、御殿場市の特産品や食材を購入できること、地元食材を生かした食事を楽しめること、富士山を一望できる展望施設や撮影スポットなどを求める声が多くみられた。市はこうしたニーズも踏まえながら、施設の具体化を進める。
今回の施設は国土交通省に登録される正式な「道の駅」ではなく、「道の駅的な機能を持つ施設」として整備する方針だ。背景には、主に3つの理由がある。
1つ目は、周辺住民の生活環境への配慮。道の駅の登録には、無料で24時間利用できる駐車場の整備が求められる。御殿場IC周辺では夜間の大型車利用も想定されるが、周辺には住宅地が広がっているため、市は騒音や振動などへの配慮から、原則として24時間利用できる駐車場は整備しない方針を示している。
2つ目は、近隣の道の駅との差別化。御殿場市周辺には「すばしり」、「ふじおやま」、「山北」の3つの道の駅があり、いずれも御殿場IC周辺から15キロ以内に位置している。市は、既存施設との差別化や施設整備の自由度を高める観点から、道の駅的施設としての整備を目指す。
3つ目は、民間活力の活用。導入機能や施設デザイン、運営方法などに民間事業者の創意工夫を生かし、地域の実情に合った施設づくりを進める考えだ。
■交通渋滞や駐車スペース 市民から課題の指摘も
期待がある一方で、課題も残る。市民の意見では、交通渋滞への懸念や駐車スペースの確保を求める声が挙がっている。計画地周辺はアウトレットなどへの来訪者で混雑することもあるため、市は今後の検討事項として、施設整備に伴う交通渋滞や事故リスクを抑える対策を検討するとしている。
今後は、基本計画の策定に向けて、施設配置や商品企画、ブランディング、管理運営の手法などを詰めていく。運営管理を見据え、民間事業者のニーズも確認しながら、事業の具体化を進める方針だ。
富士山、アウトレット、地場産品、食、芝生広場。年間約1500万人が訪れる御殿場で、新たな拠点は観光客の流れを変える存在となるのか。2030年12月の開業を目標に、計画が進められている。
(SHIZUOKA Life編集部)








