2025/05/03
“無料にしない”から一転 ETC障害の方針転換に利用者は? 中日本高速の損失額は?
■4月6日に大規模なETC障害 96万台に影響
中日本高速道路(NEXCO中日本)は4月に起きた大規模なETC障害について、利用者に通行料の請求をやめると発表した。これまでは支払いを求める姿勢を貫いてきたが、方針を一転した形だ。すでに支払った利用者にはクオカードなどで還元するという。
「トラブルが起きるのは仕方ない」 ETC障害自体に利用者は理解を示すが…
4月6日の未明に中日本高速道路が管轄する高速道路のETCでシステム障害が発生した。影響は静岡県を含む8都県に及び、東名高速や新東名高速など最大17路線106か所で1日半以上に渡ってETCが利用できなくなった。高速道路の入口付近では大渋滞や事故が発生した。
利用者らから反発がある中でも、中日本高速は自社サイトから料金を後払いするよう一貫して求めてきた。中日本高速はシステム障害の影響を受けた車の台数を96万台と推定し、すでに支払いを終えた車と支払い手続き中の車は計45万台。残りの51万台うち、サイトから支払いを申し出たのは3万9000台にとどまっていたという。
しかし、5月2日に急きょ、システム障害の影響を受けた利用者に通行料を請求しない方針に転換した。すでに支払いを済ませた人には利用料金と同額のRTCマイレージサービス付与、請求額の減額やクオカードの送付で還元するという。サイトでの受け付けは5月2日に停止した。
■突然の方針転換に「素晴らしい決断」 一方、「判断を誤った」の声も
突然の方針転換に対して、利用者からは「判断は遅かったが、素晴らしい決断」、「支払いを要求し続けても手続きをしない人は一定数いたはず。平等、公平にするには通行料の請求をやめるしかない」と評価する声が上がる。
一方、対応が後手に回り、結果的に混乱を招きかねない事態に「利用者には何の不備もなく、何時間も渋滞に巻き込まれたのだから最初から無料開放すべきだった」、「すでに通行料金を支払った人への対応に、お金と時間がかかる。完全に判断を誤った」、「お役所的な対応や考え方であきれる。システム障害が起きるのは仕方ないが、その後の対応があまりにもお粗末」と厳しい声も多い。
今回システム障害で約96万台が影響を受けており、中日本高速は減収額が少なくとも12億円に上るとみている。ETC障害の原因についてはETCの精算に必要なデータが破損して正常な課金処理ができなくなったと説明し、広域的なシステム障害に対応するマニュアルがなかったことも反省点に挙げている。
(SHIZUOKA Life編集部)