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2025/05/05

外国人観光客が静岡で爆買い!? 1人5万円超支出のワケとは 消費額が1.7倍に急増

■来静外国人の経済波及効果836億円 1人当たり5万3746円

2024年の訪日外国人旅行者数が3687万人に達し、過去最多を記録したことが観光庁のデータで明らかになった。円安や水際対策の緩和を追い風に、コロナ禍以前の2019年(3188万人)を上回る水準となり、観光立国としての日本が再び注目を集めている。

 

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インバウンド需要の回復は、地方経済にも大きな影響を与えている。静岡県が発表した「観光客実態調査」によると、2023年に同県を訪れた外国人旅行者数は126万4000人。新型コロナ感染拡大前の2019年(約173万人)には及ばなかった。

 

ただ、訪日客の1人当たり消費単価は大きく上昇した。静岡経済研究所の独自推計では、静岡県を訪れた外国人による経済波及効果は836億円に上った。

 

特に注目すべきは、静岡県における訪日外国人の1人当たり旅行支出額が5万3746円と、2019年比で72.7%増加した点だ。これは全国平均(22万6851円)の中でも上位に入る水準であり、物価の割安感や地方ならではの体験型観光が高く評価されたことが背景にあるとみられる。

 

費目別では、宿泊費が4.5倍、買物代が3.7倍、飲食費が2.5倍と軒並み増加。富士山を望む宿泊施設や温泉旅館、地元の特産品などが消費意欲を刺激している可能性がある。

 

■県内観光事業者も変化を実感 今後の課題は…

こうした消費単価の上昇は、県内の観光事業者にも実感として伝わっている。静岡市内で和菓子店を営む70代の店主は、「以前は外国人が和菓子を買うことは少なかったが、最近は“抹茶味”や“桜モチ”など日本らしいものを好んでまとめ買いしていく」と語る。特に欧米や東南アジアからの観光客の購買意欲が強く、「円安の影響か、金額をあまり気にせず買っていく印象だ」と話す。

 

また、浜松市にある宿泊施設の経営者は「週末になると欧米系のファミリー層が多く滞在するようになった」と変化を感じている。「ビジネス客より観光目的の宿泊が増えていて、2泊以上する人も珍しくない。ウナギや温泉、浜名湖周辺の自然を楽しむ人が増えている」と語った。

 

一方で、静岡県の外国人旅行者に占める割合(訪問率)は全国の3.5%と依然として低く、2019年の4.8%からも後退している。要因の1つには、中国人観光客の戻りの遅れがある。2019年には静岡県訪問客の4割を中国人が占めていたが、2023年には19.1%にまで減少。代わって、台湾(19.7%)、アメリカ(13.1%)、韓国(10.4%)など多様な国・地域からの訪問が増加している。

 

富士山の麓で観光ガイドを務める男性は、「静岡には魅力が多いのに、東京や京都ほど外国人への情報提供が進んでいない。SNSや英語対応を改善する必要がある」と課題を指摘する。

 

こうした中で、静岡県は観光政策の見直しを迫られている。これまでの「通過型観光」から「滞在型・体験型」への転換を図ることが、持続可能な観光振興のカギとなる。富士山をはじめとした世界的観光資源に加え、地元の食・文化・自然を活用した誘客戦略が求められている。

 

インバウンド需要の回復は、地方経済にとってまさに追い風だ。円安が続く中で、静岡県がポテンシャルをどこまで引き出せるかが注目される。

 

SHIZUOKA Life編集部)

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