2025/06/26
初の女性市長に“学歴詐称”疑惑 説明避ける姿勢に市議会紛糾 市民の賛否は二分
■最終学歴に疑義唱える匿名の投書 市長は「怪文書」と説明
静岡県伊東市で初めて誕生した女性市長に“学歴詐称”疑惑が浮上した。6月25日の市議会で追及された田久保真紀市長は明確な説明を避け、市議は百条委員会の設置を求めた。市民の間でも「卒業証明を出せば済む」「もっと議論すべきことがある」と意見が割れている。
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思わぬ議題に市議会の時間が割かれた。伊東市議会の代表質問で、会派・伊東未来に所属する杉本一彦市議が田久保市長の経歴に関して、次のように質問した。
「市長、確認させてください。あなたは東洋大学法学部経営法学科を卒業で間違いありませんね?」
杉本市議が質問した理由は、5月の市長選後に全19人の市議に届いた匿名の郵便にある。東洋大学を卒業したとする田久保市長の学歴に疑義を唱える内容だったという。その真偽を確かめるため、杉本市議は直接、田久保市長に問いただした。
この質問に対し、田久保市長は「この件に関しましては、全て代理人弁護士にお任せしているので、私の方から個人的な発言は控えさせていただきます」と答弁した。

伊東市初の女性市長となった田久保市長(伊東市公式HPより)
■市議は百条委員会の設置要求 市長の対応に市民は賛否
明確な回答を避けた田久保市長に対し、杉本市議は「学歴を詐称していたことが真実であったとすれば公職選挙法違反、重大な刑事事件にもなることが予想できます」と指摘した。そして、田久保市長の説明が足りないことを理由に、百条委員会の設置を求めた。
田久保市長は「必要な書類は議長や副議長に提出しています」と述べ、本会議後には市議に届いた手紙を「怪文書」と説明した。今後、法的措置を検討するという。
市長の学歴をめぐって市議会が紛糾する事態に市民の賛否は割れている。市長選の争点となった新図書館計画や観光施策など、市民にとって関心の高い事業は多いだけに、「学歴よりも議論すべき市の課題がある」、「学歴を見て市長選の投票先を決めたわけではない。市議会は過去のことより、現在や未来を議論する場であってほしい」という声がある。
一方、「疑惑を払しょくしたいなら、卒業証書を示せば済む話。卒業証書を紛失していても、卒業証明書は発行できる」、「代理人弁護士に任せる事案なのだろうか。詐称か否かに関わらず、対応の仕方に不信感を抱く」など、疑問を投げかける市民は少なくない。
田久保市長は2019年に伊東市議に初当選し、2期目途中で市議を辞任して今年5月の市長選に立候補した。現職との一騎打ちを制して、初の女性市長となっている。市長選出馬の際のプロフィールでは「1992年に東洋大学法学部卒業」と記している。
(SHIZUOKA Life編集部)