2025/06/27
4日で3件のメール誤送信発表 静岡県で情報漏洩連発 機能していない再発防止策
■6月23~26日に計3件のメール誤送信を発表
静岡県で立て続けにメール誤送信による情報漏洩が起きている。県は6月23日から26日までのわずか4日間で、3件の誤送信があったと発表した。これまでも同様の事案が繰り返されており、再発防止策として「複数人によるチェック」を掲げているが、その効果は疑問視せざるを得ない。
逮捕→略式命令に度重なるパワハラ 静岡県職員の懲戒処分に「軽すぎる」の声
静岡県は6月26日、志太榛原農林事務所が23日に茶関連施設などの整備補助業者から提出された利用状況をメールで確認したところ、他の事業者の企業情報が含まれていたことに気付いた。漏洩した内容には荒茶や有機荒茶の生産量、単価、販売額などが含まれていた。誤送信したのは、調査対象22事業者のうち2業者だった。
この発表前日の25日には、ICT・サービス関連企業進出事業費等補助金について、誤って他の企業の申請書類を添付・送信したと発表した。補助金交付企業の交付申請額や振込口座、事業計画書や収支予算書といった詳細な情報を別の企業にメールで送っていた。メールを受け取った企業から県に連絡が入って誤送信が発覚した。
県は23日にもメールの誤送信による個人情報漏洩を公表している。県によると、関東農政局からの新規就農に関する交付事業の実績確認依頼に基づき、13日に農業ビジネス課から農林事務所を経由して市町に調査を通知した。ところが、通知先の市町に係る調査対象者分のみを送信すべきところ、その他の市町に係る対象者の個人情報を含むファイルをメールで送信したという。
17日に農林事務所から個人情報漏洩の一報が入り、翌日に漏洩先の市町に対してファイルの削除を求めた。誤送信した内容は、新規で就農する人を国が支援する経営開始資金の交付者95人の氏名や交付した市町名、事業名や登録番号などだった。

メールの誤送信に歯止めがかからない静岡県
■「複数人の確認」や「職員の研修」 再発防止策に疑問
23日から26日までわずか4日間で、県は3度もメールの誤送信を発表した。担当部署はいずれも経済産業部で、再発防止として以下の対策を挙げている。
「個人情報を扱う全業務を洗い出すとともに、個人情報を含む場合は、業務の処理過程において視覚的に判別できるよう見直しを行う。メール送信等の事務処理の実行段階においては、複数人による確認を徹底する」(23日発表)
「資料作成時においては、ファイル名に企業名を記載し、送信先と送信ファイルの不一致を防止する。メール送信時の添付ファイル内容の確認を徹底する。職員に対して個人情報保護に関する研修を実施する」(25日発表)
「補助金等で取り扱う企業情報等を洗い出し、企業情報等を含むメール送信等の実行段階において、複数人による確認を徹底する」(26日発表)
県によるメールの誤送信や情報漏洩は長年の課題となっている。問題が起きた際、必ずと言ってよいほど「複数人によるメール内容の確認」や「職員への研修」を掲げている。しかし、同様の事案が相次いでいる現状を見ると、効果的な対策とは言えない。ヒューマンエラーを繰り返さないためには、AIの導入やシステムの構築など、より実効性のある対策が求められる。
(SHIZUOKA Life編集部)