2025/07/07
静岡県民は幸せ? 初の調査で「全国平均超」判明 30~40代が低調な理由とは
■県民幸福度6.49 全国平均0.25ポイント上回る
静岡県が初めて「県民幸福度調査」を実施し、幸福実感が全国平均を上回った。「自然景観」や「健康状態」などで高い評価が得られた。一方、「移動・交通」や「遊び・娯楽」などでは不満も目立ち、課題も浮き彫りとなった。
県は次期総合計画に「ウェルビーイング(Well-being)」の視点を盛り込み、主観的な幸福感を重視した県政運営を掲げている。その一環として今年1月、県内に住む18歳以上の男女5000人を対象に調査を実施し、有効回答は2082件に上った(有効回収率41.6%)。
ウェルビーイングは「幸福」、「健康」、「充実した状態」などと訳される。世界保健機構(WHO)は「個人や社会のよい状態。健康と同じように日常生活の一要素であり、社会的、経済的、環境的な状況によって決定される」と表現している。
県の調査では、幸福度を0~10の11段階でたずねた。その結果、静岡県の平均値は6.74で、全国平均の6.49を0.25ポイント上回った。幸福度が「8」と答えた人が最多で、幸福度「10」と回答した女性の割合が全国と比べて高かった。
■30~40代が低調 静岡県は都市機能や経済面に課題
年代別では30代、40代で幸福実感がやや低く、年齢による差が表れた。地域別では東西でばらつきがあり、県西部の幸福度が幅広い年代で高い。
調査は全52項目に渡り、分野ごとの実感でも静岡県の傾向が見えてきた。「自然景観」、「自然の恵み」、「健康状態」、「文化・芸術」の4項目では全国平均を0.2ポイント以上高く、生活環境や自然資源に対する満足度の高さが際立った。一方、「移動・交通」、「遊び・娯楽」、「多様性と寛容性」、「雇用・所得」、「事業創造」の5項目では全国平均より0.15ポイント以上低く、都市機能や経済的側面では課題も多いことが明らかになった。
県はこうした調査結果を踏まえ、「幸福度日本一の静岡県」を目指す方針を打ち出している。来年度にはウェルビーイングの要素を盛り込んだ新たな事業をスタートさせる予定だ。これに先立ち、今年度は県庁内で職員向け研修を実施して、「ウェルビーイング推進会議」を設置。さらに県民や若手職員、企業から事業提案を募る取り組みも進めていく。
また、来年3月には「ウェルビーイング週間」を創設し、幸福感に関する啓発活動を集中展開する計画を立てている。調査では、過去5年間および今後5年間の幸福予測について県独自に質問。時間軸を含めた自己評価をもとに、県は分析を継続して、より実効性の高い政策形成に生かす構えだ。
(SHIZUOKA Life編集部)