2025/07/08
麻しん患者が清水PAを2度利用 神奈川から静岡市に立ち寄り 空気感染のリスク
■麻しん感染者 6月21、22日に清水PA利用
静岡市保健所は7月7日、神奈川県平塚市在住の10代男性が、麻しん(はしか)に感染した状態で、感染力のある期間中に静岡市内の高速道路施設を利用していたことを明らかにした。市は、不特定多数と接触した可能性があるとして、市民に体調の変化に注意するよう呼びかけている。
例年以上のペースで増える食中毒 静岡市では同じ店が3週間で2度
麻しんの患者が利用したのは新東名高速道路の清水パーキングエリア(PA)で、自家用車で静岡県外に向かう途中だった。静岡市内では、清水PA以外に立ち寄っていないという。利用した日程と時間は以下の通りとなっている。
・6月21日(土)午前1時00分~1時15分頃
・6月22日(日)午後9時00分~9時30分頃
麻しんウイルスは空気感染するが、空気中での生存時間は2時間未満とされている。静岡市は、現在の清水PA利用に感染リスクはないと説明している。なお、施設関係者のうち接触が特定された人に関しては、市保健所が健康観察を実施しており、現時点で新たな感染者は確認されていない。
■患者と接触した可能性のある人 7月13日までは体調に注意
麻しんは、感染後10〜12日(最長21日)の潜伏期間を経て発症する。初期は38度前後の発熱や咳、鼻水など風邪に似た症状が見られ、2〜4日後に39度以上の高熱と全身に赤い発疹が出現する。感染力は発症の1日前から解熱後3日程度まで続く。
清水PAを患者と同時間帯に利用した可能性がある人は、最後の接触から21日間(7月13日まで)体調に注意を払い、以下の対応が求められる。
・毎日検温を行い、発熱や発疹などの症状を確認する。
・麻しんを疑う症状が出た場合は、事前に医療機関へ電話し、清水PAを利用したことを伝えたうえで受診する。
・受診の際は、マスクを着用し、公共交通機関の利用を避ける。
■強い空気感染 同じ空間にいるだけで感染の可能性
麻しんは空気感染・飛沫感染・接触感染のいずれでも広がる感染症で、特に空気感染による感染力が非常に強い。感染者と同じ空間にいただけでうつる可能性があるという。免疫を持たない人が感染すれば、ほぼ100%の確率で発症するとされている。
静岡県内では、ここ数年、麻しんの報告数は非常に少ない。2023年の国立感染症研究所の統計によれば、県内での届け出は0件だった。一方で、2024年以降は全国的に麻しんの報告数が増加傾向にあり、再流行の兆しが指摘されている。
麻しんに対する最も有効な予防法は、麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)の接種とされている。日本では定期予防接種として、以下のスケジュールで2回接種が行われている。
・第1期:生後12カ月~24カ月未満(1歳児)
・第2期:小学校入学前の1年間(年長児)
また、1977年4月2日から1990年4月1日生まれの世代は、制度上ワクチン接種が1回のみにとどまっている可能性がある。この世代の成人は、自身の接種歴を母子手帳などで確認し、不明な場合や1回のみの接種歴である場合は、医療機関で抗体検査や追加接種を検討する必要がある。
静岡市は「予防接種を受けたことがなく、麻しんにかかったこともない人は、早めのワクチン接種を検討してほしい」と呼びかけている。
(SHIZUOKA Life編集部)