2025/09/05
婚姻届なし&別居が多数派に 40代以上の恋愛・結婚観に変化 最後の恋の理想像は?
■理想の“ラス婚” 40代以上の1671人に徹底調査
中高年の恋愛・結婚観が大きく変わりつつある。40〜80代の男女を対象にした調査で、約6割が「婚姻届を出さない関係」を望み、別居を選ぶ人も半数を超えた。従来の「結婚=同居=婚姻届」という“常識”が変化している。
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40歳以上を対象としたマッチングアプリ「ラス恋」はアプリユーザー1671人に、最後の恋(ラス婚)に関する意識調査を実施した。調査期間は8月22日から26日まで。恋愛や結婚を含む家族社会学を専門とする中央大学文学部・山田昌弘教授が監修した。
調査結果によると、「理想のラス婚」の形は、「必要な時が来たら婚姻届を視野に入れる別居パートナー(恋人関係)」が31.4%で最多となり、「婚姻届を出し、同居もする」の29.9%を上回った。次いで、「婚姻届は出さずに同居する事実婚」は15.7%、「婚姻届の提出も同居もしない“ゆるやかな恋人関係”」が15.4%と、形式にこだわらないスタイルが過半数を占めた。
プロポーズについても「お互いに気持ちを伝え合う」が47.2%で最も多かった。自由回答には「婚姻届より、相思相愛を確認することが大事」といった声が寄せられ、“紙より言葉”を重視する姿勢がうかがえる。
興味深いのは年代別の傾向だ。40代では「婚姻届あり・同居」が約4割と依然として“再婚・同居志向”が強い。一方で70代以上では「婚姻届も同居もしない恋人関係」が4割超を占め、“ゆるやかなパートナーシップ”が主流となっている。山田教授は「独身者の増加と長寿化、2つの要因が背景にある。選択肢も多様になっている」と指摘する。

写真はイメージ
■イベントやプレゼント ラス婚の記念に出費惜しまず
ラス婚を記念する支出意欲も高い。挙式やフォトウェディングなどイベントにかけたい費用は「10〜20万円」(21.8%)、「20〜50万円」(19.1%)が中心で、記念品では「指輪などおそろいのアイテム」が最多回答だった。イベントと記念品を合わせると、20〜40万円を費やす人が最も多いゾーンとなっている。アンケートに回答した静岡県の50歳女性は「2人がつながっている証」を記念品購入の理由に挙げている。
中には「100万円以上かけたい」という声もあり、旅行やジュエリーなどラグジュアリー市場との親和性も示された。山田教授は「バブル期に青春を過ごした世代にとって、恋愛と消費は切り離せない。“ときめき消費”が再び動き出している」と分析する。
かつては結婚して子どもを育てることが恋愛のゴールだった。しかし、シニア世代の恋愛は事情が異なる。子育てを前提としない分、「婚姻届を出す/出さない」、「同居する/しない」といった選択肢が広がっている。山田教授は「多くの人が“恋人以上、(伝統的な)夫婦未満”の関係を望んでいる。人生100年時代を迎え、各自のライフステージに合った形でパートナーと寄り添うことが自然になってきた」と語る。
調査結果は、中高年の恋愛が「制度に縛られず、気持ちでつながる」という価値観へシフトしていることを示している。形式は柔らかくても、恋を祝いたいという思いはむしろ強まっており、恋愛が経済を動かす原動力にもなりつつある。人生後半に訪れる“最後の恋”。そのあり方は、社会の変化を映す鏡でもある。
(SHIZUOKA Life編集部)