生活に新しい一色
一歩踏み出す生き方
静岡のニュース・情報サイト

検索

情報募集

menu

2025/10/07

ラーメン店の倒産激減 1000円の壁を越えたか? “大淘汰時代”から潮目変化

写真はイメージ

■今年1~9月の倒産件数46件 前年同期から2割以上減少

かつて「大淘汰時代」と呼ばれるほど急増していたラーメン店の倒産に変化が出てきた。今年1月から9月に発生した倒産件数は46件と前年同期から2割以上減少。4年ぶりに前年を下回る見通しで、原材料費や人件費の高騰が続く中でも収益環境が改善しつつある。市場は拡大を続け、逆境を乗り越えたラーメン業界に再興の兆しが見え始めている。

 

【ランキング】好きなラーメンチェーン 全国地域別の順位が判明

 

民間の調査会社・帝国データバンクがまとめた「ラーメン店」の倒産動向によると、倒産件数は前年同期から2割以上減の46件だった。前年は過去最多の60件に達していたが、今年は4年ぶりに前年を下回る見通しとなり、倒産急増が続いた「大淘汰時代」に一服感が出てきた。

 

内訳をみると、資本金100万円未満の小規模・個人店が約半数を占めており、依然として淘汰の影響を強く受けている。一方で資本力を持つチェーンや中堅以上の事業者は、スケールメリットを生かした原価管理や効率化されたオペレーションで収益を確保し、業界内の格差が一段と鮮明になっている。

 

経営環境を取り巻く最大の課題は、原材料費や人件費の高騰だ。帝国データバンクが算出した「ラーメン原価指数」(豚骨ベース、東京都区部)は、2020年度を100とした場合、今年度は131に上昇。スープの豚骨や香味野菜、麺、チャーシューなど幅広い材料価格が高止まりしており、2020年度比で約3割増となった。ただし、急騰した昨年度と比べると伸びは鈍化。さらに、消費者の「ラーメン1杯=千円超」への抵抗感も和らぎつつあり、価格転嫁のハードルが下がり始めている。

 

こうした変化を追い風に、期間限定メニューやセット商品、個性的なトッピングを取り入れるなどして客単価を引き上げ、コスト増を吸収する店舗も登場。その結果、昨年度はラーメン店の55.0%が増益を記録し、比較可能な2010年度以降で過去最高となった。損益面の改善が広がりつつあることが、倒産件数の減少につながったとみられる。

 

さらに市場全体に目を向けると、昨年度のラーメン店市場は事業者売上高ベースで7900億円に達し、10年前の1.6倍まで拡大した。ご当地ラーメンの人気や新規参入の増加により競争は一層激化しているが、業界には「逆境を乗り越えた後の再興」への期待も高まっている。帝国データバンクは「淘汰の流れが一服し、潮目が変わり始めた」と分析している。

 

SHIZUOKA Life編集部)

関連記事