2025/10/18
関西から遠くないのに恩恵が… 意外にも東海が最下位 万博の経済効果に地域格差
■万博が「経済に一定のプラス」 全国67%の企業が実感
大阪・関西万博が閉幕した。開幕前は批判的な声が少なくなかったが、前評判を覆して黒字での着地となった。「万博ロス」のムードも広がっている。企業を対象にしたアンケートでは、7割近くが「日本経済に一定のプラス効果があった」と回答。一方、地域間で格差があり、中でも東海地方は全国で最も低い水準だったことが分かった。
大阪・関西万博は10月13日に、184日間の会期を終えた。期間中に2500万人以上が来場し、運営収益は最大280億円の黒字と見込まれている。
民間の調査会社・帝国データバンクは、全国の企業に万博の経済効果を調査した。「日本経済にとって開幕前に期待されていたプラス効果の有無」を問う内容に対して23.4%が「期待以上」、44.0%が「期待通り」と答え、全体の67.5%が一定のプラス効果を実感する結果となった。
万博は建設、観光、消費など幅広い面で経済波及効果を生み出した。ただ、その恩恵は地域間に格差がある。地域別に見ると、一定のプラス効果を回答した企業の割合は近畿が81.3%に上ったのに対し、6割を切った地域は3つあった。中でも、近畿と決して距離が遠くない東海は54.5%と最も低かった。
【一定のプラス効果の割合(地域別)】
・北海道 67.5%
・東北 59.4%
・北関東 57.1%
・南関東 64.6%
・北陸 65.0%
・東海 54.5%
・近畿 81.3%
・中国 69.1%
・四国 71.0%
・九州 73.9%

10月13日に閉幕した大阪・関西万博
■100点満点で平均72.2点 地域や職種で評価に差
アンケートでは、各企業は万博が日本の社会や経済に与えた効果を100点満点で評価している。平均は72.2点だった。100点を付けた大阪府の鉄鋼・非鉄・鉱業の企業は「様々な分野で未来を感じて、世界各国の文化交流でプラス効果があった。万博に続き、2030年のIR開業によって経済がさらに活発になり、現在の旺盛なインバウンド需要と相乗効果を発揮できれば良い」とコメントした。
一方、20点を付けた北海道の飲食料品卸売の企業は「大阪以外の地域にはインバウンド客を吸い取られることもあったようで、効果が相殺されたのではないか」と指摘。35点と評価した長野県の輸送用機械・器具製造の企業は「第2次産業にはほとんど効果がなく、日本の産業にとっての永続的な効果は最初から期待できなかった」と振り返った。
調査結果を受けて、帝国データバンクは「万博が成長の起爆剤としての役割を一定程度、果たしたと言える。今後は万博の成果を一過性に終わらせず、持続可能な地域振興や産業活性化につなげる取り組みが求められる」とまとめている。
今回の調査は10月9日から14日にかけてインターネットで実施され、全国1058社から有効回答を得た。東海地方は110社が回答した。
(SHIZUOKA Life編集部)