2025/11/13
経営の“プロ”なのに… コンサルの倒産が過去最多ペース ITブーム終焉で淘汰が進む
■今年1~10月のコンサル倒産146件 過去最多更新は確実
経営の“プロ”であるはずが、自社経営が思い通りにいかない。企業の経営課題を支援するコンサルティング業界で、倒産が過去最多ペースとなっている。小規模事業者を中心に淘汰が進んでおり、静岡県を含む地方経済への影響が懸念される。
帝国データバンクによると、今年1月から10月までに発生した経営コンサルティング業者の倒産(負債1000万円以上)は146件に上る。昨年1年間の159件を上回るペースで増えており、年間で過去最多の更新が確実とみられる。
倒産した事業者の規模をみると、8割以上が資本金1000万円未満の小規模企業だった。コロナ禍の前後に中小企業を中心に急拡大した業務の自動化やリモート体制構築といったIT関連の需要が落ち着き、特需を背景に参入したコンサル企業が苦境に陥っている。
帝国データバンクの分析では、コンサルティング需要の中心が“まずはIT”から、リスクマネジメントやM&A、新規事業開発など、より専門性の高い経営支援に移行していることも要因とされている。顧客企業の業績悪化により、報酬単価の引き下げや契約打ち切りが増えており、特に少数の取引先に依存していたコンサル企業で経営が行き詰まるケースが目立つという。
静岡県内では、中小企業の補助金申請や事業再生、業務改善などを担う中小コンサル事業者が増えている。しかし、全国的な淘汰の波が地方にも及びつつあり、県内の中小企業支援体制に影響を及ぼす可能性がある。特に人手不足や後継者問題に直面する県内企業にとって、「身近な経営相談先」が減少すれば、支援の遅れや経営改善の遅延につながりかねない。
国内のコンサルティング市場は2023年度に初めて4兆円を突破したが、2024年度は伸び率が3%未満と鈍化している。帝国データバンクは「簡易なデータ収集や分析といった経営コンサルが従来得意だった作業を生成AIが代替できるようになりつつある。高度な専門性を持つ経営コンサル企業とそうでない企業との選別が、今後より進行するとみられる」と指摘している。
(SHIZUOKA Life編集部)








