2025/11/16
75%の企業が高市政権の経済政策に期待 “年収の壁”や時給1500円には不安の声も
■最も期待が高いのは「暫定税率廃止」 次いで「年収の壁」
日本初の女性総理となった高市早苗政権の経済政策に期待が高まっている。帝国データバンクの調査に対し、4社に3社が施策に「期待している」と回答した。ただ、静岡県内の企業からは慎重な意見や懸念の声も挙がっている。
民間の調査会社・帝国データバンクによると、高市政権の経済政策について「期待している」と答えた企業は75.7%に達した。「期待していない」の5.6%を大きく上回り、「日本経済が停滞する中で積極財政に期待する」、「政策のスピード感に期待している」などの声があった。
国民生活に直結する施策への賛同が広がり、中でも「ガソリン税・軽油引取税の暫定税率廃止」への期待が最も高い。82.1%の企業が「期待している」と回答している。ただ、「代替財源が示されていないことが気になる」、「政策は良いが裏付けが不安」といった慎重な意見も一定数存在し、実行段階での課題を懸念する声もみられた。
暫定税率廃止に次いで、パート従業員の就労調整が問題視される“年収の壁”の引き上げに65.1%の企業が期待を寄せた。しかし、「どちらともいえない」が27.6%に上る。企業から「最低賃金の上昇で勤務時間を抑える動きが起きていて引き上げは急務」との声がある一方、「所得税だけでなく“社会保険の壁”や“住民税の壁”も同時に見直さなければ、根本的な改善にならない」と制度全体の改革を求める意見が出た。
そして、石破茂前政権が掲げた「最低時給1500円」の方針に懸念を示す企業が少なくない。静岡県内の製造業からは「会社の利益が十分に上がっていないにも関わらず、先に最低時給を決められると経営を維持できない」、「これほどハイペースで時給を上げられるのは大手に限られる。人材が大手に流れて、中小企業は生き残りが難しくなる」など、不安を隠せない。
■企業は積極財政に期待 一方で持続性に懸念
帝国データバンクの調査では、自由回答で以下のようなコメントが寄せられている。
「技術継承と人材育成に向けた投資を進めてほしい」(建設)
「大規模災害に備え、公共事業の推進は必要」(化学品製造)
「防衛産業や安全保障は待ったなし」(鉄鋼・非鉄・鉱業)
「積極財政は評価するが、財政規律が緩むのは不安」(広告関連)
調査からは、「積極財政」と「迅速な政策遂行」への期待が企業の間で高まっていることが明らかになった。一方で、財源や制度の整合性といった持続性への懸念も根強い。帝国データバンクは次のように調査結果をまとめている。
「新政権には評価されている高いスピード感と実行力を生かし、不確実性への備えを強化しながら経済を活性化させる有効な政策を迅速に実施することが求められる。短期的対応にとどまらず、日本の強みを活用し、中長期的な視点で景気の好循環を生み出す環境を整え、持続的な成長を実現することへの期待が一層高まっている」
今回の調査は11月7日から11日まで、インターネットを通じて実施された。有効回答企業数は1491社だった。
(SHIZUOKA Life編集部)









