2025/12/14
中国の渡航自粛は日本経済に打撃? 一部で影響も 「むしろ好機」「今後はプラス」の声
■「マイナスの影響ある」と「影響ない」 ともに約4割で拮抗
中国政府による日本への渡航自粛要請を受け、日本企業への打撃が懸念されている。静岡県内でも、その影響を不安視する声がある。一方、影響の有無は拮抗しており、「プラスの影響がある」と回答する企業が増加しているアンケート結果も出ている。
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中国外務省は11月、高市早苗総理の発言を受けて日本への渡航を当面控えるよう注意喚起した。それを受けて、民間の調査会社・帝国データバンクは12月5日から9日まで、日本経済への影響を全国の企業に調査した。有効回答企業は1197社だった。
調査の結果、「マイナスの影響がある」と答えた企業の割合は42.8%で、「影響はない」の40.8%と、ほぼ同じ割合だった。「プラスの影響がある」と回答した企業は5.6%にとどまった。
業界別では、現在の影響として旅客運送業や旅行業を含む「運輸・倉庫」で「マイナスの影響がある」とする割合が53.8%と最も高かった。観光客の減少が、直接的に業績へ影響する業界であることが浮き彫りになった。アンケートに回答した企業からは「観光客が減少し、売上に影響を及ぼしている」といったコメントもある。
静岡県内でも現実の動きとして表れている。静岡空港と中国・上海を結ぶ定期便は、12月から運航本数が半減した。これまで週4往復していた上海線は、月18本から9本に減少。運航する中国東方航空は理由について「機材の調整が原因」と説明している。

写真はイメージ
■今後の影響は“肯定的” 「大きなプラスになる」
県内の経済界も、日中対立が「県内観光の一部に影響を与えている」と懸念を示している。上海線の減便に伴って団体旅行のキャンセルなども起きているとし、「どこまで長引くかなどを見定める」と話している。
しかし、今後を悲観する企業の割合は比較的低い。この先、半年程度の影響については、「マイナスの影響がある」とする企業は36.4%に低下し、「プラスの影響がある」は11.1%に上昇した。帝国データバンクは、多くの企業が渡航自粛を比較的冷静に受け止め、影響は限定的とみている可能性があると分析している。アンケートでは、肯定的に捉えるコメントも寄せられている。
「訪日観光客の増加でビジネスホテルの料金が高騰し、出張を控えるケースがみられる。料金が下がれば、国内の営業活動が活発化し、プラスに転じる可能性がある」
「観光地や公共交通機関の混雑、宿泊費用の高騰が解消され、日本旅行をためらっていた日本人による旅行機運が高まる。これで内需循環型消費が進み、日本主体の安定した経済循環サイクルが生まれる」
「直近ではマイナス影響が出るかもしれないが、これを機に中国依存を脱却できれば、今後大きなプラスになると考える」
帝国データバンクは「日本が観光や生産面などで中国への依存度を高めてきたことが、改めて課題として認識されている。企業はこの機会を捉え、中国に過度に依存しないよう分散化を進めるとともに、国内市場の需要拡大にも注力することが重要である」とまとめている。
(SHIUZOKA Life編集部)








