2026/01/13
黒字でも店じまい…全国に拡大する“静かな退場” 休廃業・解散は過去10年で2番目
■休廃業・解散した企業6万7949件 2024年に次ぐ過去10年で2番目
店のシャッターが静かに下り、看板が外される。大きなニュースにはならなくても、街の風景は少しずつ変わっていく。全国で企業の「休廃業・解散」が高水準で推移し、目立たない形で市場から姿を消す企業が増えている。
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帝国データバンクの調査によると、2025年に全国で休業・廃業、解散した企業は6万7949件に上る。年間最多だった前年からは1.6%減少したものの、依然として過去10年で2番目に多さだ。法的整理を伴う「倒産」には至らず、特段の手続きを取らずに事業を終えるケースが多いのが特徴で、帝国データバンクは「静かな退場」と表現している。特に、中小零細企業が占める割合が高い。
目を引くのは、「黒字」であっても事業を終える企業の割合だ。休廃業・解散の直前期に当期純損益が黒字だった企業は49.1%を占める。
雇用面では、2025年に休廃業・解散となった企業の正社員雇用が少なくとも9万3272人分、売上高の消失は2兆4909億円に上る。人手不足や物価高、エネルギー価格の上昇、後継者難など、複数の経営課題が重なり、「続けられなくなった」だけでなく「今のうちに畳む」という判断が広がっている実態が浮かぶ。
業種別にみると、主要7業種全てが前年を上回った。件数が最も多いのは建設業(8217件)で、サービス業(8165件)、小売業(4145件)が続く。

写真はイメージ
■「貴金属製品卸売」に逆風 「映画・ビデオ制作」も苦戦
さらに細かい分類では、「貴金属製品卸売」が前年比62.2%増加と大幅に増えた。安定資産として取引されている金やプラチナといった地金の仕入れ価格が短期間で高騰したことに加えて、業界をけん引してきた中国人観光客向けの販売が停滞し、売上単価が上がっても数量が伸びず、結果的に利益が残らない状況に直面しているという。
「映画・ビデオ制作」も前年から56.4%増加した。帝国データバンクは「テレビ離れの加速と広告費の構造変化で制作費削減に直面し、動画作成ソフトの進化などで同業者間の競合が激化するなど、経営環境は厳しさを増している」と指摘する。
全国動向の中で、静岡県も「静かな退場」が続く。2025年に県内で休廃業・解散した企業は1939件で、前年から2件減と横ばいだった。年間で2000社規模が市場から姿を消している計算になる。
全国的には、企業数の多い都市部ほど休廃業・解散も多い傾向が明確に表れている。都道府県別では、東京都が1万5804件で唯一の1万件を超えた。次いで大阪府4411件、神奈川県4117件、愛知県3946件と大都市圏が上位を占める。静岡県の1939件は、首都圏・中京圏の中核県に比べると少ないが、地方部の中では高水準に位置し、都市部に件数が集中する全国的な構図の中で、県内経済の厚みを反映した規模感といえる。
2026年に向けては、利上げによる金利負担の増加や人手不足の長期化といった負担増も見込まれる。今回の調査では、収益基盤の再構築が遅れた企業や後継者問題を抱えた零細企業を中心に、「静かな退場」が今後も続く可能性を示唆している。全国と同様、静岡県でも事業承継や再生の選択肢にたどり着けるかが、地域経済を将来にわたって維持できるかを左右する段階に入っている。
(SHIZUOKA Life編集部)









