2026/01/15
ラーメン店の倒産4年ぶり減少のワケ 職人技から効率経営へ コスト高でも利益確保
■2025年のラーメン店倒産59件 前年から20件減少
湯気の向こうで、店の姿が静かに変わり始めている。原材料や人件費の高騰が続く中でも、2025年はラーメン店の倒産が4年ぶりの減少に転じた。味で勝負する“個”の時代から、効率を高めて生き残る“集団”の時代へ。ラーメン業界は今、大きな曲がり角に立っている。
民間の調査会社・帝国データバンクの調査によると、2025年のラーメン店の倒産件数(負債1000万円以上、法的整理)は59件だった。前年の79件から20件(25.3%)減となり、4年ぶりに前年を下回った。飲食業全体では倒産増加が続く中、ラーメン店は転換期を迎えた。
そうは言っても、経営が楽になったわけではない。小麦や野菜、油脂類などの原材料価格は高止まりし、コスト面の厳しさは続く。実際、ラーメンの主要原材料を指数化した「ラーメン原価指数(豚骨ベース、東京都区部)」は、2020年平均を100とした場合、2025年は141に達した。水道光熱費を含まない指数でも、原価の重さが際立つ。
■経営戦略が変化 「個」から「効率経営」へ
それでも倒産が減った背景には、経営戦略の変化がある。小規模店を中心に、個人の技量や職人技で顧客をつかむ「個」の競争から、サプライチェーン管理やDX(デジタル化)を取り入れ、少人数で高い成果を出す「効率経営」へと軸足が移りつつある。売上規模の拡大を追うのではなく、客数が少なくても利益を確保する動きが広がっているという。
具体的には、「汁なし麺」業態の拡大、セントラルキッチンの活用、キャッシュレス券売機の導入といった調理やオペレーションを簡略化して人手を抑える工夫が進んだ。コスト高の局面でも持続的に利益を確保できるノウハウの獲得が、淘汰が一服した要因の1つとされる。また、値上げに対する消費者の理解が広がったことも、経営を下支えした。
一方で、業界の集約も進む。後継者不足やコスト高で苦しむ中小規模のラーメン店を大手や外食チェーン、投資ファンドなどが取り込み、DXなどのノウハウを注入して再生する動きがみられる。新たな看板ブランドを求める企業の思惑も重なり、再編を伴う生き残りが現実味を帯びてきた。
こうした流れの先には、“分業”による業界構造の変化が見える。味の追求に専念する店と、スケールメリットを生かした高効率経営を担う中核企業が役割を分けて規模に応じた最適な経営形態を追求する形だ。帝国データバンクは2026年に向けてこの傾向がさらに鮮明になるとし、特徴を持ちながら経営危機に陥る店が倒産という形で姿を消すケースは今後減少する可能性にも言及している。
“ラーメン不況”が語られた数年を経て、店のあり方は確実に変わり始めた。湯気の奥で進むのは、単なる淘汰ではない。効率と再生を軸にした、静かな進化である。
(SHIZUOKA Life編集部)








