2026/05/12
「田舎の人に理解は難しい」 大井川鉄道の社長が“失言”謝罪 県民から擁護が相次ぐワケ
■大井川鉄道の鳥塚社長 ブログの投稿が地元関係者から反発
「田舎の人に理解は難しい」。ローカル線の“再生請負人”として知られる社長の発言が、波紋を広げている。社長は謝罪に追い込まれたが、県民からは意外にも擁護する声が大きい。
赤字が続いて存続危機の駿河湾フェリー ”半額作戦”スタートに県民から賛否
静岡県の大井川鉄道が進める井川線の“観光列車化”を巡り、鳥塚亮社長が自身のブログに投稿した内容が地元関係者の反発を招いた。社長はその後、説明会で謝罪した。
問題となったのは、4月下旬に個人ブログへ投稿した記述だ。井川線の値上げ計画に対する地元の反応について、以下のようにつづった。
「ふだん田舎の山の中で生活している人たちにも、理解していただくことは難しいということを、『やっぱりここもそうだったなあ』と今回改めて感じているところです」
「別に井川線が廃止になったとしても世の中の大勢に影響はないし、自分たちで反対してこの話をつぶすのだったら、それは自己責任だから私が責任を感じることもないし。とか思う自分もいるわけですよ」
「地域の資本が入っていませんから、私の口から『地域のための鉄道』とはっきりと申し上げることができません」

秘境駅として人気の「奥大井湖上駅」
■背景に運賃の大幅値上げ 地元から「急すぎる」の声
こうした投稿に対して、川根本町の町議会議員が「看過できない記述があった」などとして大井川鉄道に直接抗議した。現在、該当の投稿は削除されている。
背景にあるのが、大井川鉄道が突如発表した運賃の値上げだ。大井川鉄道が運行する井川線は静岡県中部の千頭駅から井川駅を結ぶ路線で、日本唯一の「アプト式列車」が走る観光路線として知られている。沿線には奥大井湖上駅などの絶景スポットもあり、全国から観光客が訪れる。
大井川鉄道は6月から井川線を観光列車として本格運行する方針を示し、新たな料金体系を導入すると発表した。現在は160円〜1340円の区間運賃だが、区間に関係なく大人3500円、小児半額の均一料金とすると表明。利用区間によっては大幅な値上げとなることを受け、地元関係者からは「急すぎる」、「観光客減少につながるのでは」といった懸念の声も出ている。
鳥塚社長は、これまで「いすみ鉄道」や「えちごトキめき鉄道」の経営再建に携わり、“ローカル鉄道の再生請負人”として知られてきた。今回の発言をめぐっては、経営再建の難しさと地域との関係づくりの難しさが改めて浮き彫りになった形だ。

大井川鉄道が運行する「アプト式列車」
■県民からは擁護の声 大井川鉄道は観光列車化延期へ
ただ、静岡県民からは鳥塚社長を擁護する意見も多い。運賃の大幅値上げについて、次のような声が上がっている。
「選んだ言葉は不適切だったかもしれないが、経営を維持するために民間企業が値上げするのは当たり前。赤字が膨らんで路線が消滅したら困るのは地元の人たち」
「倒産しても町議や地元関係者が責任を取るわけではない。言葉遣いや説明不足を批判するよりも、地元を潤すための方法を一緒に考えるべき」
「井川線は特殊で一般的な鉄道と同じ視点で考えても意味がない。インバウンドの観光客を取り込んだり、付加価値を売りにしたりする経営をしないと生き残りは難しい。大幅に運賃を値上げする経営判断は間違っていない」
大井川鉄道は5月8日に地元関係者向けの説明会を開き、6月1日に予定していた井川線の観光列車化を延期する方針を示した。説明会では、鳥塚社長がブログの投稿に関して「言葉の間違った使い方でご迷惑、ご心配をおかけして申し訳ありません」と謝罪した。
(SHIZUOKA Life編集部)








