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2026/07/03

1杯1000円は当たり前の時代? ラーメン市場“三極化” 1兆円目前も利益半減の理由

■2025年度の売上高8855億円 10年前から63%増加

ラーメン1杯1000円は高いのか、もう普通なのか。身近な外食の代表格であるラーメンをめぐり、価格の受け止め方が大きく変わりつつある。

 

【ランキング】好きなラーメンチェーン 中部エリアのトップ3は?

 

帝国データバンクが発表した全国「ラーメン店」市場動向調査によると、2025年度のラーメン店市場は8855億円に達する見通しとなった。集計可能な2010年度以降で過去最高を更新し、早ければ2027年度にも初めて1兆円台に乗る可能性があるという。

 

調査は全国のチェーン店やご当地ラーメン店、ラーメンを中心とした中華料理店などを対象に、事業者売上高ベースで市場規模を集計している。市場の拡大は、はっきり表れた。2025年度の8855億円は、10年前の2015年度の5418億円と比べて63.4%増加。ラーメン店事業の売上高上位50社の主なチェーン店の店舗数も2025年度末時点で6305店となり、過去最多を更新した。

 

こうした動きは、静岡や愛知でも身近に感じられる。静岡県内では、東京発の人気店「むかん」が浜松市に県内初出店したほか、辛さを売りにする「カプサイメン」も浜松市にオープンした。東京発の油そば専門店「東京油組総本店」は、静岡市に続いて浜松駅前にも出店している。名古屋発の「スガキヤ」も浜松市に新店舗を構え、静岡県内で店舗網を広げている。

1000円を超える店も当たり前になったラーメン

■チェーン店が出店拡大 静岡や愛知でも活発な動き

愛知県でもラーメンチェーンの存在感は強い。関東を中心に展開し、辛さで知られる人気チェーン「蒙古タンメン中本」は、豊川市に東海エリア初となる店舗を構えた。出店の動きは、県内企業の全国展開という形でも表れている。名古屋発のスガキヤは、約20年ぶりに関東へ再進出し、年内に神奈川県で2店舗を出店する方針を明らかにしている。関東地域では今後3年で50店舗の展開を目指すとしており、東海の“なじみの味”が再び広域展開へ動き出している。

 

背景には、国内外での出店拡大に加え、日本式ラーメンの人気の高まりがある。観光地や駅前、繁華街ではインバウンド需要を取り込む動きも目立っている。

 

ただし、市場の拡大がそのまま店の利益増につながっているわけではない。利益面では、2025年度の純損益合計が171億円となり、前年度の356億円からほぼ半減した。原材料費や人件費、光熱費の上昇が重くのしかかっているためだ。

 

ラーメン店では、スープの炊き出しにかかる光熱費に加え、豚肉や背脂、麺、海苔、メンマなど幅広い原材料の価格が上がっている。値上げで対応する店もあるが、地元の固定客を中心に客足の維持に苦戦するケースもある。

写真はイメージ

■価格帯は三極化 1000円前後のラーメンに難しい戦略

その中で、ラーメンの価格帯には「三極化」の動きが出ている。これまでラーメンには「1杯1000円を超えると高い」と感じられやすい、いわゆる「1000円の壁」があった。しかし、近年は500円前後の低価格帯、1000円前後の標準価格帯、1500円以上の高価格帯に分かれる傾向が強まっている。

 

特に難しい立ち位置にあるのが、1000円前後の標準的なラーメンだ。値上げしても「特別感」が伝わりにくく、低価格帯との比較では割高に見え、高価格帯との比較では魅力が弱くなる可能性がある。帝国データバンクは、1000円前後の中間価格帯の縮小を伴う市場の二極化が今後さらに進む可能性があるとみている。

 

倒産件数は減少している。2025年度のラーメン店の倒産は55件で、過去最多だった2023年度の75件から2年連続で減った。ただ、コロナ前と比べると高い水準で推移している。倒産した店の約8割は、個人店を含む資本金1000万円未満の小規模店だった。

 

ラーメン店の競争は、味だけではなくなっている。券売機やタブレット端末の導入、セントラルキッチンによる仕込み作業の集約、食材調達の効率化など、運営コストをどう抑えるかも重要になっている。

 

身近な一杯として親しまれてきたラーメンは、1兆円市場が目前となっている。一方で、店側にとっては価格設定や経営判断がより難しい局面に入っている。安さで選ばれるのか、特別な一杯として選ばれるのか、店ごとの戦略の違いもより鮮明になっている。

 

SHIZUOKA Life編集部)

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