2026/09/15
富士山の救助で対応に違い 山梨県は有料化へ 導入決めない静岡県に「スピード感がない」の声も
■静岡県が遭難防止対策 登山届の義務化やペナルティーの検討
山梨県と静岡県で対応に差が表れた。富士山の遭難をめぐり、山梨県は閉山期間中の防災ヘリコプターによる救助を有料化する方針を示した。一方、静岡県は登山届を提出せず救助を要請した場合に何らかのペナルティーを科す方針を示したものの、具体策は今後検討し、ヘリ救助の有料化までは決めていない。
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富士山の静岡県側では9月10日に開山期間が終了し、富士宮、御殿場、須走の3ルートで山頂へ向かう登山道が冬期閉鎖となった。閉山期間中は気象条件が厳しく、山小屋なども一部を除いて原則閉鎖されていることから、静岡県は登山の自粛を求めている。
それでも閉山期間中の遭難は後を絶たない。静岡県警によると、過去5年間に山岳遭難救助隊が出動した閉山期の遭難事故は47件に上り、12人が死亡している。
こうした状況を受け、静岡県は9月14日、閉山期の富士登山をめぐる遭難防止対策をまとめた。柱となるのが、現在は年間を通して任意となっている登山届の提出義務化だ。届け出をせずに登山し、救助を要請した場合には何らかのペナルティーを科す方向で制度を検討する。
静岡県は登山届を作成・提出する際に適切な装備や無理のない計画を立ててもらうことで、安全性の向上につなげる考えを示している。さらに、登山道への侵入を防ぐ柵の改良や警告看板、回転灯の設置、閉山期間に特化した動画による注意喚起なども進める。県は2027年9月までに対策を順次具体化する方針だ。

閉山中の登山はリスクが高い富士山
■山梨県は防災ヘリ有料化へ 埼玉県の5分8000円を参考
一方、山梨県は静岡県より一歩踏み込んだ。閉山期間中に富士山の6合目以上へ登る場合、登山届の提出を義務化する。計画が不十分な場合には、事前に修正を求める仕組みも設ける。
さらに、県の防災ヘリコプターによる救助を有料化する。登山届を提出し、安全対策を講じた登山者については救助費用を減免する一方、登山届を提出せずに遭難した場合や、装備や登山方法などから「無謀な登山」と判断された場合には費用を徴収する方針を示した。
救助費用については、すでに山岳救助を有料化している埼玉県の「5分8000円」を参考に金額を検討している。条例を見直した上で、2027年9月からの運用開始を目指す。
ただし、山梨県が今回有料化の対象としているのは県の防災ヘリだ。県警ヘリなどによる救助は今回示された防災ヘリ救助手数料の対象には含まれていない。
静岡県でも地元自治体からヘリコプターによる救助の有料化を求める声が出ている。しかし、静岡県は県警ヘリとの公平性や、救助全体では消防や警察の地上部隊が出動するケースが多いことなどを有料化に向けた課題として挙げている。県は有料化を行わないと決めたわけではなく、ヘリ救助の手数料徴収以外の方法も含めてペナルティーの内容を幅広く検討する。

静岡県の防災ヘリ(県公式HPより)
■静岡県は有料化決めず 県民から「決断が遅い」の声も
閉山期間中の救助は、救助する側のリスクも大きくなる。自治体や警察が自粛を呼びかけているにもかかわらず遭難した人に対しては、「自己責任」や「救助費用の自己負担」を求める声もある。山梨県が有料化の方針を示す一方、現時点で導入を決めていない静岡県に対し、静岡県民からは次のような意見が上がった。
「危険だと分かっていて登山した結果、遭難した人に対して救助費用を税金で負担するのは疑問。静岡県も自己負担する方向で進めるべきだと思う」
「5分8000円は金額が安すぎるように感じる。静岡県が救助費用を導入する場合は、金額の根拠を示してほしい」
「閉山期間中に無謀な登山で毎年救助要請が出ている中、今の段階で何らかのペナルティーを検討するというのは対応が遅すぎる。静岡県は何事もスピード感がない」
「富士山の入山料導入も山梨県が先行していた。静岡県は決断が遅いので、救助費用の件も山梨県に引っ張ってもらうことになるだろう」
静岡県も山梨県も、危険性の高い閉山期の登山を自粛してもらうスタンスに変わりはない。ただ、富士山を挟む両県で、登山者に求める責任と遭難時の負担については、現時点で明確な差が生まれている。
(SHIZUOKA Life編集部)






