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2023/07/13

精肉のテナントからスタートして50年超 業態異なる10種類のスーパー運営するワケ

タカラ・エムシーの本社と隣接するフードマーケットマム曲金店

■高級ワイン扱う店やブラジルの食材並べる店 多種多様なスーパー

店の外観や商品のラインナップを比較すると、同じ企業が運営しているとは思えないだろう。静岡県を中心にスーパーマーケットを展開する「タカラ・エムシー」は、様々な業態の店を運営している。難しさがある一方、新店や改装だけでは企業や人の成長はないという考え方が根底にある。

 

静岡市に本社を置くタカラ・エムシーは、「フードマーケットマム」の運営で知られている。創業は50年以上前。精肉のテナントからスタートした。現在は、業態の違うスーパーを運営し、グループ会社には物流やレストランなど様々な業種が並ぶ。会社の歩みを知る上野拓社長は振り返る。

 

「スーパーを始めるには、ものすごいエネルギーが必要でした。誰も経験がないわけですから。私も元々は精肉が専門でしたが、人がいないということで日配(毎日仕入れがある商品)部門や鮮魚も担当しました。経験を積んで知識や技術を身に付け、どんな仕事でもやり切ることを大事にしてきました」

 

スーパーマーケット事業だけを見ても10種類の名前が並ぶ。フードマーケットマムをはじめ、ブラジル人向けの食材を集めた「アソーゲタカラ」や世界のワインとおつまみなどを並べた「PRIME FOODS MARKET」。今年5月末には鮮度と価格を両立させる「超タカラ屋」をオープンした。

 

「フードマーケットマム」を知る人は、「PRIME FOODS MARKET」が同じタカラ・エムシーの運営する店とは想像がつかないだろう。店内には世界各国のワインが並び、中には1本10万円を超すものもある。上野社長は「マムとは違うコンセプトで始めました。日々の買い出しではなく、ショッピングをするようなイメージです」と説明する。

「PRIME FOODS MARKET」と店内

■創業時から変わらない挑戦 業態の違いから発見や学び

来客の要望に応えながら店頭に並べる商品を決めていった結果、今ではコストコの商品が350アイテムを超えた。静岡県東部の地域密着型スーパー「ラコアンドエース」にもコストコの商品が増えている。上野社長は「三島や沼津からコストコに行くためには西側の浜松でも、東側の座間(神奈川県)でも車で2時間半くらいかかります。買い物代行のような感覚です」と話す。

 

袋井市でオープンしたばかりの「超タカラ屋」にも、ショッピングの要素を取り入れた。ワインを中心に、酒類は既存のスーパーの3倍。店内には「アソーゲタカラ」で販売しているブラジルの商品も並べ、日曜日にはブラジルでは一般的なチキンの丸焼きを販売するなどのイベントも開催している。

 

会社の規模を大きくするためには、知名度が高い「フードマーケットマム」の新店を増やしたり、売上の伸びが期待される店舗を改装したりする方法がある。しかし、タカラ・エムシーは業態の異なる店の運営を試みる。上野社長は、その理由を明かす。

 

「精肉のテナントから始まったタカラ・エムシーは、ずっと挑戦を続けてきました。その姿勢は、これからも変わりません。同じようなスーパーを続けるよりも、業態が違う店に挑戦した方が発見や学びがあります。失敗しても修正したり、別の方法を考えたりすれば、今までにはない形を生み出すことができます」

 

挑戦をやめれば企業の成長はない。スーパーの新しい可能性を探し続ける。

 

SHIZUOKA Life編集部)

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