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2023/08/11

負のイメージは過去の話 発売から86年 進化するカンパン 主食にもおやつにも

発売から86年を迎えた三立製菓のカンパン(三立製菓提供)

■三立製菓の「カンパン」 登山や災害で需要高まる

長年口にしていない人は“負のイメージ”を持っているかもしれない。浜松市の菓子メーカー三立製菓が1937年に発売したカンパンは、進化を続けている。かつては「口の中の水分を持っていかれる」と非常食のみの位置付けだったが、今はビスケットのように日常のお菓子としても親しまれている。さらに、他の食材と相性が良くアレンジメニューも豊富に紹介されている。

 

カンパンの歴史は1937年に始まった。軍からの発注を受けた三立製菓は当時、「乾パン」の名称で生産。海外にも工場をつくるほど、会社の主力商品だった。1959年に商品名を現在と同じ「カンパン」に変更。登山などのレジャーブームが追い風となり、携行食として需要が高まった。

 

1972年には、これまでの袋入りから缶入りにして保存性を高めたカンパンを発売した。当初の賞味期限は2年だったが、改良を重ねて3年、5年と伸ばしていった。

 

1979年には家庭での備蓄用に約5食分のカンパンと金平糖を入れた「ホームサイズ」を発売。そして、カンパンの注目が一気に高まったのは1995年の阪神淡路大震災だった。非常食の必要性が叫ばれ、保存性に優れたカンパンを常備する家庭や企業、自治体などが増えた。

ニーズに合わせて缶入りも袋入りも(三立製菓提供)

■改良重ねてビスケット代わりにも アレンジメニューも豊富

その後も「小袋カンパン」を販売したり、幼児の離乳食にもなるカンパンの長所を発信したりしてきた。ただ、“負のイメージ”が消えていない面があると三立製菓の担当者は話す。

 

「カンパンはパサパサしていて、口の中の水分を持っていかれると思っている方が少なくありません。改良されていて、今はビスケットの代わりとして普段から食べている方も多いです。マイナスな印象を持っている方々には、ぜひ一度口にしていただきたいです」

 

カンパンはそのまま食べても、ほんのりとした甘みとゴマの香ばしさを味わえるが、三立製菓ではホームページなどでアレンジレシピも紹介している。「フライドカンパン」はカンパンを油で揚げて、塩や砂糖をかけて食べる。カラッと香ばしい風味がクセになるという。細かく砕いてスープやサラダにトッピングすればクルトンにもなる。

アレンジメニューも豊富。写真はかにぱんクルトン(三立製菓提供)

■おつまみにもおやつにも 子どもからお年寄りまで

「カンパンカナッペ」はカンパン半分にクリームチーズを塗り、1センチ幅に切った生ハム3枚をバラのように巻いてチーズを上に乗せる。最後にフレンチパセリを飾り、全体にクレイジーソルト(岩塩をベースにハーブや香辛料を配合した調味料)をかければ完成。酒のつまみにピッタリな一品となる。

 

子どものおやつにオススメなのは「飴がけカンパン」。フライパンに砂糖と水を入れてかき混ぜ、沸騰したらカンパンを入れてからめる。しばらくして砂糖が結晶化して白っぽくなり、カンパンの表面につやが出てきたら皿に移して冷ます。

 

子どもからお年寄りまで味わえて、非常食にも日常食にもなるカンパン。歩んできた86年間は、まだ通過点に過ぎない。

 

SHIZUOKA Life編集部)

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