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2023/11/20

物価上昇以外にも理由 なぜ観光地の宿泊料金値上げ続く? 旅館経営者「本来は…」

浜松市の浜名湖周辺は静岡県内で宿泊施設が多いエリアの1つ

■海外の観光客回復と深刻な人材不足 宿泊料金値上げの要因に

観光地のホテルや旅館の宿泊料金が上がっている。夏休みや秋の行楽シーズンで宿泊先を調べ、予想以上の価格に驚いた人は少なくないだろう。実際、静岡県では今年度に入ってから宿泊料金を3割上げた施設もある。光熱費や食料品の価格高騰以外の要因もあるという。

 

紅葉のシーズンが間もなく終わり、年末年始の旅行計画を立てる人も出てくる時期。旅行サイトや宿泊施設のホームページを見ると、宿泊料金を値上げしている施設が目立つ。静岡県内では今年度に入って1~2割値上げした施設は珍しくなく、中には3割上げた施設もある。

 

物価上昇の影響で宿泊施設の経費が増えていることを考えれば、宿泊費用の値上げは理解できる。しかし、それ以外の理由もあると静岡県内にある旅館経営者は話す。

 

「新型コロナで大幅に減った海外からの観光客が戻ってきました。円安の影響もあって海外の旅行者は日本の物価をあまり高いと感じていないので、宿泊料金を上げている部分があります。もう1つは深刻な人手不足です。賃金を上げないと人手を確保できないので、その分を宿泊料金に乗せています」

 

新型コロナウイルス感染拡大による行動規制は緩和され、観光地には海外の旅行者も増えてきた。ここ数年、新型コロナで旅行を控えてきたこともあって、贅沢な過ごし方をする旅行者も多いという。そこで、外国人を意識した宿泊料金を設定している。

 

宿泊料金が値上げされているもう1つの要因は、宿泊業界の深刻な人手不足。新型コロナで大幅に利用者が減った宿泊施設の中には業務を縮小して、従業員の数を減らしたところも少なくない。

 

売り手市場で人手不足に直面する業界が多い中、観光需要が回復したからといって宿泊施設が簡単に従業員を増やせないのが現実。人材を確保するには、賃金で満足してもらう必要がある。人件費を確保するために、宿泊料金の値上げに踏み切る施設もある。前出の旅館経営者は「人手が足りなければ、予約を受け入れる数に制限をかけなければいけません」と話す。そして、こう続ける。

 

「物価上昇率に給与が追いついておらず、節約している家計は多いはずです。本来は宿泊料金を値上げせずに旅行を楽しんでほしいと思っています。海外からの観光客と日本の観光客の料金を別々に設定して、日本の観光客に対する値上げ幅を小さくする方法も1つと考えています」

 

新型コロナで打撃を受けた宿泊業界では、観光客や売上が回復傾向にある。だが、深刻な人手不足という別の問題に直面している。

 

SHIZUOKA Life編集部)

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