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2022/09/06

いじめ早期発見へ 浜松市が学校でタブレット活用 全国の自治体が対策強化する深刻な数字

■いじめに関するアンケート+専門家の相談 浜松市がタブレット活用へ

いじめを早期に発見しようと、静岡県浜松市がタブレットを活用した対策に乗り出す。2022年度の一般会計9月補正予算に計上し、2023年度から開始する見通しとなっている。新型コロナウイルス感染拡大で児童・生徒同士の直接的な接触が減り、いじめの件数自体は減っている。しかし、自殺件数や、インターネットによるいじめの件数は過去最多を更新。全国的にも、静岡県内でも、対策を講じる自治体が増えている。

 

浜松市は、いじめが深刻化する前に発見する手段としてタブレットを活用する。市立小中学校の全児童・生徒を対象に月に1回程度、割り当てているタブレットを使ってアンケートを実施する。アンケート結果はAI(人工知能)が解析し、いじめにあっている可能性が高い子どもたちを市教育委員会や各学校が把握する仕組みだ。

 

その他にも、毎週木曜と長期休み前後にタブレットや各自のパソコンやスマートフォンのチャット機能を使って相談を受ける事業も始める。専門知識のある相談員が対応にあたるという。浜松市は2022年度一般会計の9月補正予算案に、タブレットを活用したアンケートと相談事業の費用2200万円を計上。2023年度からの開始を予定している。

 

■柏市や大阪市でもいじめ対策でタブレット導入 掛川市は昨年12月から

小中学校でタブレットを使って、いじめや自殺対策を進める自治体は年々、増えている。文部科学省によると、千葉県柏市の教育委員会では、自分がいじめにあっているという悩みを抱えていたり、周りでいじめを目撃したりした場合、アプリを通じて教育委員会の相談員とチャットで話ができる。相談員は内容を学校に報告し、教師やスクールカウンセラーが関係する児童・生徒に聞き取りをして、対策を講じている。

 

大阪市の教育委員会は昨年から、市立小中学校に通う子どもたちが、毎日の学校生活を記録するシステムに、相談申告機能を追加した。タブレットに表示される「相談ボタン」を押すと、「いじめ」、「勉強」、「生活」など相談の種類が示される。選択すれば、学校内の全ての教師に通知される仕組みで、子どもたちはタブレットを自宅に持ち帰って操作することもできる。

 

静岡県内では、掛川市が昨年12月からタブレットで児童・生徒からの悩みを受け付ける「こころの相談ノート」を運用している。周りの目を気にせず、いじめ、勉強、家庭などの悩みを打ち明けてもらう目的で、月平均90件ほどの悩みが寄せられている。いじめに関する内容が圧倒的に多いという。三島市でも同じような取り組みを進められている。

 

■新型コロナでいじめ件数減少も自殺者急増 ネットいじめも増加

こうした背景には対策が急務となっている深刻な状況があるからだ。文部科学省によると、小・中・高校及び特別支援学校における2020年度のいじめ認知件数は517163件で、前年度から約10万件減った。新型コロナによる休校や外出自粛で子ども同士の接触が激減したことが、要因と考えられている。

 

一方、パソコンやスマートフォンでの誹謗中傷といったインターネット上のいじめは18870件で、過去最多を更新した。原因はいじめに限定されないものの、小・中・高校から報告があった自殺の人数は415人と、前年度より98人増えた。文科省は「極めて憂慮する状況」とし、教育相談体制の充実を推進する方針を掲げている。

 

いじめにあっている子どもたちは声を上げるのは難しい。周囲がSOSを見逃さないのが大前提だが、周りの目を気にせず、いつでも悩みを相談できるタブレットの活用が一助になると期待されている。

 

SHIZUOKA Life編集部)

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