2025/05/10
渋滞は消えたが客も消えた? 日本平動物園で初めて導入 「駐車場予約制」に賛否
■日本平動物園で GW期間中に駐車場の予約制導入
静岡市にある市立日本平動物園では初めて、ゴールデンウィークに駐車場の予約制が導入された。課題となっていた周辺道路の渋滞は解消したものの、来園者は前年から39%減少。来園者や市民の賛否が分かれている。
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県内外からも来園者が訪れる日本平動物園は、静岡市内の観光地として人気が高い。シセンレッサーパンダの繁殖管理をしていることから「レッサーパンダの聖地」と呼ばれ、他にもアジアゾウやホッキョクグマ、フンボルトペンギンやアムールトラなど数多くの動物を飼育している。
動物たちの生息環境をリアルに再現した展示も魅力で、動物との触れ合いも楽しめる。また、料金が一般620円、小・中学生150円、駐車料金は620円と格安なところも家族連れを中心ににぎわう理由となっている。
その人気から、繁忙期には動物園周辺の渋滞が長年の課題となっていた。そこで、ゴールデンウィークの5月3日から6日まで、駐車場を初めて予約制にした。

「レッサーパンダの聖地」としても知られる日本平動物園
■駐車場の使用率149%→73% 来園者数は39%減少
静岡市によると、昨年の同時期に149%だった駐車場の使用率は73%にとどまった。予約制によって渋滞を解消できた一方、駐車場の回転率が下がる結果となった。期間中の来園者も前年から39%減少した。静岡市の難波喬司市長は9日の定例会見で次のように話した。
「車の渋滞は一切発生しなかった。予約制には効果があった。駐車場を無駄に空けていたのも事実なので、本来よりも楽しんでもらえなかった問題をよく認識して、来年度どうするかを考えたい」
日本平動物園の駐車場を予約制にすることに対し、来園者や市民の意見は割れている。賛成派からは「駐車場に入れず長時間並んだ経験がある。予約制になれば無駄な時間が減る」、「大型連休に訪れた際、駐車場に入るまでの大渋滞で子どもがトイレに行けず困った。繁忙期は予約制にしてほしい」、という声が上がる。
一方、反対派は「渋滞が緩和されても来園者が大幅に減ってしまうのは対策としては成功と言えない。ただ、課題を傍観するのではなく、解決するために策を打つ姿勢は評価できる」、「予約するのは面倒。そこまでして動物園に行こうと思わない。日本平動物園は前持って計画を立てるというより、当日に行くことを決めるケースが多いので」などと話した。
静岡市では今回、駐車場の予約を1日単位としていた。来園者の中には数時間だけ利用するケースもあったため、来年度以降は予約枠を時間単位にするなど改善案を検討している。
(SHIZUOKA Life編集部)