2025/05/12
カレー1杯425円の時代へ 物価高が静岡県の食卓も直撃「節約メニューの意識なくなった」
■カレーライス物価指数 12か月連続で最高値更新
家計に優しいメニューの代表ともいえる「カレーライス」に異変が起きている。家庭でつくるカレーライスの全国平均価格は421円で、1年前から103円も上昇。今後は一層の高騰が予想され、庶民の味が遠のく現実が静岡県内でも広がっている。
カレーライスが「手軽な家庭料理」ではなくなりつつある――。民間の調査会社・帝国データバンクが5月9日に発表した「カレーライス物価指数」によると、2025年3月時点の全国平均は1食421円。1年前より103円も上昇し、過去10年で最高値を更新した。
カレーライス物価指数は帝国データバンクが食卓に与える影響を可視化したもので、カレーライスを家庭で調理する際に必要な原材料や光熱費などの価格をもとに算出している。2025年3月時点で1食あたり421円となり、12か月連続で最高値を更新した。
静岡県内でも同様の傾向が広がっており、「安くておいしい」家庭の定番が崩れつつある。食費を抑えたい主婦層や子育て世帯の県民からは、「週1回つくるのが厳しくなってきた」、「最近はカレーが節約メニューという意識がなくなった」といった切実な声が漏れる。

価格高騰に歯止めがかからない米
■全ての食材で価格高騰 最新予測では1食425円
特に価格上昇の要因となっているのが、米(ライス)の値上がりだ。2024年夏以降、全国的なコメの品薄が続いており、静岡県内でも県産米の価格は高止まりしている。全国平均で131円(前年比+41円)と、カレーの材料費全体に大きな影響を与えている。
また、静岡県産のジャガイモやニンジンも、生育期の少雨や気温変動により出荷量が減少して価格が上昇している。地元スーパーの担当者は「地元野菜の入荷が安定せず、価格が変動する」と語る。
「カレー具材(肉・野菜)」全体のコストは、全国で初めて1食あたり213円を突破した。静岡県内でも牛肉の価格が円安の影響で高騰し、「カレーでは牛肉の代わりに豚肉や鶏肉を使うようにした」と話す県民もいる。
4月以降も物価は高止まりする見通しで、最新予測ではカレー1食が425円になると見込まれている。今後は政府の備蓄米放出が価格抑制につながるかが注目される。“国民食”カレーの値動きは、静岡県民にとっても家計のリアルを映す鏡となっている。
(SHIZUOKA Life編集部)