2025/06/04
70回続いた展示会中止… 静岡市で新たな祭典開催へ 職人が危機感「産地の称号消せない」
■職人が“家具のまち・静岡”をつなぐ 6月5~7日に初開催
このままでは、家具産地の称号が消えてしまう──。危機感と使命感を抱く静岡の家具職人たちが立ち上がり、新たな展示会「FURNITURE AND SKILLS SHIZUOKA(略称:FASS)」を6月5日から3日間、初めて開催する。中止となった「シズオカKAGUメッセ」の志を継承し、木工技術を未来へつなげる。
プラモデルのまちとしても有名な静岡市 6月2日から新ミュージアムの予約開始
「家具の街・静岡」が新たな一歩を踏み出す。木工と家具の新展示会「FURNITURE AND SKILLS SHIZUOKA」が6月5日から7日まで、静岡市のツインメッセ静岡で開催される。1950年から70回続いた「シズオカKAGUメッセ」が、今年は計画していた出店規模を確保できなかったことから中止。危機感を覚えた地元の家具職人らが新たな展示会の立ち上げに踏み切った。
「家具の展示会」と聞くと製品中心のイメージだが、「FASS」はひと味違う。指物や挽物、漆や蒔絵といった伝統的な工芸技術から、量産対応の最新工場技術まで、静岡に集まる多彩な木工スキルが一堂に会する“技術の祭典”となっている。
また、家具のバイヤーはもちろん、住宅設計、商業空間、オリジナル雑貨など、木工技術とコラボしたいあらゆる業種の関係者に向けた“マッチングの場”としても注目されている。木工・家具業界に関わるプロフェッショナルはもちろん、建築・空間設計やクラフト業界まで、幅広い業種に向けたつながりと再発見の場を提供するという。

国内有数の家具のまちとして知られる静岡市
■6月5、6日は商談・業界向け 7日は一般来場者向け
環境への配慮も重視する。最終日の7日は一般開放日「FASS THE MARKET」として、来場者が製品を直接購入できるマーケットを開く。チャリティオークションやビンゴなどのイベントも開催。売上の一部やチャリティイベントの収益は、一般社団法人「more trees」を通じて森林保全に充てる。
静岡の木工技術は歴史が長い。徳川家康が隠居の地として選び、静岡浅間神社や久能山東照宮の造営のために全国から呼び寄せられた腕の良い職人たちが静岡に住み着いたという。交通の利便性が高いこともあって多種多様なオーダーが集まり、家具と木製品の産地に成長した。
展示会は5、6日の2日間は商談・業界関係者向け、7日は一般来場者向けとなっている。期間中は、職人同士の技術交流や出展者同士の懇親会も行われる予定で、地場産業の横のつながりを深める仕掛けも盛り込む。歴史と伝統の火を消してはならない――。家具のまち・静岡が新たな一歩を踏み出す。
■イベント概要
名称:FURNITURE AND SKILLS SHIZUOKA(通称:FASS)
日程:6月5、6日:商談日、7日:一般販売日
時間:午前10時から午後5時
会場:ツインメッセ静岡・北館
入場:無料(一部有料イベントあり)
(SHIZUOKA Life編集部)