2025/08/13
県職員の兼業“解禁” 営利企業での勤務に賛否 想定される仕事と狙いは?
■静岡県が兼業制度拡充 地域貢献や行政の課題解決が狙い
静岡県が職員の兼業を“解禁”した。これまで認めていなかった営利目的の企業での勤務が可能となる。地域貢献や行政の課題解決につなげる目的がある。
静岡県の鈴木康友知事が、県職員の兼業制度を拡充する方針を明らかにした。「静岡県庁LGX型兼業」と名付け、環境の変化に柔軟かつ迅速に対応する組織への変革を目指すという。「LGX」はローカル・ガバメント・トランスフォーメンションを意味する。狙いについて、県は以下の2点を挙げている。
・職員の働き方の自由度を高め、希望する職員が兼業を実践し、成長実感を得ることにより、ウェルビーイングを向上させる
・「現場主義」の考え方のもと、市町の職員にも働きかけ、「オール静岡」で地域への貢献と課題の解決を図り、県民のウェルビーイングを向上させる。
県職員の兼業は現在、家業の手伝いなどに限定され、企業から報酬を得るものは禁止されていた。今回の拡充では営利企業での兼業も可能となる。具体的には、過疎地のバス運転手やプロスポーツチームの支援、交通空白地でのライドシェアや部活動の地域移行に伴う指導者などを想定している。

兼業拡充の方針を示した静岡県
■職員の兼業に県民は賛否 “全面解禁”望む声も
「静岡県庁LGX型兼業」について、県民の賛否は分かれている。賛成する人たちからは「一部の県職員を除いて給料は決して高くない。働き方の選択肢が増えるし、所得が増えれば税収も増えるメリットがある」、「体質の古い民間企業は副業に否定的なので、県職員の兼業を加速させることで、民間の副業も当たり前になる流れができると期待する」などの意見がある。
一方、否定的な人たちは「公務員の忙しさを訴える情報をよく見聞きするが、兼業する余裕はあるのか?その時間が捻出できるのであれば、県庁での仕事を今より効率化できるはず」、「兼業するゆとりのある職員は県庁内の忙しい人をサポートした方が、職員の残業時間が減って節税になる」といった声が上がった。
また、兼業の範囲を決めず、全面的に解禁すべきと主張する人もいる。その理由として、「公務員は民間企業を知ることで、いかに行政が時代遅れか気付くきっかけになる。行政が平均的な民間企業並みに無駄を省くだけで、職員の残業時間や人員を大幅に削減できるはず」と指摘している。
職員が営利企業で兼業する制度は、すでに大阪府や長野県などで導入されている。鈴木知事は「今後は制度を導入して市町にも働きかけ、オール静岡で地域への貢献と課題解決を図って県民のウェルビーイングを向上させていく」と話している。
(SHIZUOKA Life編集部)