2025/09/22
赤字解消見えない駿河湾フェリー 市長が「存続検討の時期」 市民から「時期は過ぎた」の声
■駿河湾フェリー存続か撤退か 来秋めどに判断
2期連続で赤字の駿河湾フェリーは、赤字解消の見通しが立たない。フェリーに出資している静岡市の難波喬司市長は会見で、「存続するかどうか検討すべき時期」と述べた。
8か月ぶりに運航再開した駿河湾フェリー 12月まで豪華賞品当たるキャンペーン中
静岡市の清水港と伊豆市の土肥港を結ぶ駿河湾フェリーは、2019年から県と静岡市や伊豆市など6市町が資金を拠出する形で事業を継続している。しかし、利用客は伸び悩み、収支も2期連続の赤字と苦戦が続く。
県は今年度の一般会計補正予算案で無利子貸し付けに2億1000万円を計上するなど、フェリーの運航は税金で維持されている。鈴木康友知事は17日の県議会本会議で「来秋をめどに運航実績や経営状況を改めて検証し、運航継続の是非を含めた経営判断を行ってまいります」と1年後に存続を判断する考えを示した。
フェリー運営会社の初代理事長を務めた静岡市の難波市長も、県の方針を支持した。19日の定例記者会見で、次のように話している。
「今は赤字額があまりにも大きいので、経済効果を含めて評価して県が存続するかどうか検討すべき時期だと思う。県が1年を見てしっかり判断するのは、適切な判断と思っている」
難波市長はフェリーを存続するか撤退するかの判断基準に「収益性と経済効果のバランス」を挙げた。民間企業であれば収益性が低く、赤字解消の見通しが立たない事業からは撤退する。一方、運賃収入だけではなく、フェリーには観光や宿泊などの外部経済効果を考慮する必要があると指摘した。
「フェリーは外部経済効果が非常に高いので、運航そのものが赤字でも、バランスを見たら伊豆半島や静岡市の観光、経済効果を重視して、赤字でも運航すべきという判断で事業を継続した。ただし、収益を上げていかないといけないので、赤字をできるだけ減らさないといけない。色々とやったが、新型コロナや船体損傷の影響で思うようにいかない面があった。もう一回、伊豆や県全体の経済効果と赤字を比べて県が判断すると思う」
■「景色が最高」、「必要性感じない」 県民は賛否交錯
「存続を検討する時期」、「収益性と経済効果のバランス」と指摘した難波市長に対し、県民の中には「天気が良い日はフェリーからの景色が最高」、「県外の知人にフェリーを含めた観光地を提案している。運賃収入だけではない効果が期待できる」と理解を示す声もある。一方、以下のような厳しい声も多い。
「運賃半額キャンペーンや抽選で豪華賞品プレゼントなど、一時的にしか利用客が増えない取り組みばかりで、赤字解消の道筋が見えない。税金を投入して継続する事業なのか疑問。存続を検討する時期は、もう過ぎている」
「清水区に住んでいて伊豆に出かける機会も多いが、フェリーを使ったことがない。東名高速と伊豆縦貫道を利用した方が便利なので、必要性を感じない」
「フェリーは一隻だけで、老朽化している。運行が非効率だし、今後かかる修繕費用を考えると存続は厳しいのではないか」
赤字から脱却する具体策が見えない駿河湾フェリー。税金を投入して運航している以上、存続するのであれば経済効果を証明する明確なデータを示す必要がある。
(SHIZUOKA Life編集部)