2026/03/27
世界的抹茶ブームの“逆風” 製茶業の廃業が過去最多 14社が消えた背景は?
■ 製茶業界で進む二極化 業績悪化の企業は半数以上
抹茶人気が広がる一方、足元で異変が起きている。日本茶を扱う製茶業で、廃業や解散の動きが加速していることが分かった。日本有数の茶どころとして知られる静岡県への影響は小さくない。
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民間の調査会社・帝国データバンクによると、2025年の休廃業・解散件数は13件で、前年の8件を上回って過去最多を更新した。倒産1件を含めると、年間で14の製茶業者が市場から退出した。
背景にあるのは、世界的な抹茶ブームだ。抹茶ラテやスイーツの需要拡大によって茶葉の需要は急増したが、それに伴って原料価格や仕入れコストも上昇。中小の製茶業者ほど負担が大きく、経営を圧迫している。
実際、製茶業約300社の2024年度の業績を見ると、「増益」は42.7%と4割を超えた一方、「減益」や「赤字」を合わせた「業績悪化」は半数を上回り、製茶業者の間で二極化が進んでいる。帝国データバンクは次のように分析する。
「世界的に需要が急増している飲料・加工用抹茶向けの原料(碾茶)へ出荷量のシフトが続く半面、緑茶原料となる煎茶の供給量では減少傾向が続き、煎茶原料となる生葉の確保がより困難となっている。煎茶生産が減少する中、飲料メーカー大手各社も主力商品のペットボトル緑茶向け原料の確保に動いていることもあり、中小の製茶業者が予算に合った品質の原料調達に苦心するケースは少なくない」

抹茶スイーツも人気
■「売る場所がない」の声 販売面にも変化
販売面でも変化が出ている。かつて安定収益だった香典返しなどの需要は、家族葬の増加で減少。さらに、地域に根付いていた茶小売店の廃業も相次ぎ、「仕入れられない」、「売る場所がない」という構造的な課題に直面している。
人手不足や最低賃金の上昇、エネルギー価格の高騰といったコスト増も重なり、価格転嫁が難しい中小の製茶業者ほど厳しい状況に置かれている。一方で、生き残りを模索する動きもある。ティーバッグなど加工商品の強化や、キャラクターとのコラボによる若年層への訴求、高級茶の新たな楽しみ方の提案など、付加価値を高める取り組みが広がりつつある。
静岡をはじめとする日本の茶文化は、長い歴史の中で受け継がれてきた。時代の変化にどう適応していくのか。抹茶人気が追い風となる中、伝統的な日本茶の在り方は転換点を迎えている。
(SHIZUOKA Life編集部)








