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2026/05/14

「初球から振れ」は逆効果? 問題はメンタルではなく技術 大阪桐蔭元主将が見た好打者の共通点

愛知県や石川県で野球塾を運営する水本さん

「初球から振れ」。言うのは簡単ですが、実行するには技術が必要だといいます。大阪桐蔭高校野球部の元主将で、現在は名古屋市などで野球塾を運営する水本弦さんは、好打者の共通点に「初球からスイングできる選手」と「バントが上手い選手」を挙げます。

 

水本弦さん解説 小・中学生がお手本にすべきプロ野球選手 まねしてほしくない打者

 

■「振らない」ではなく「振れない」 初球スイングの難しさ

小・中学生のチーム関係者や保護者と接していると、選手に対して「初球から振っていけ」という指示をよく耳にします。甘い球を積極的にスイングして安打の確率を上げる目的でかけている言葉だと思いますが、初球やファーストストライクを狙ってバットを振れるかどうかは、メンタルの問題ではありません。

 

野球経験が浅い方は、初球のストライクを見逃す打者に「バットを振れと言われているのに、なぜ振らないのか?」と感じるかもしれません。しかし、初球からバットを振るには、技術が求められます。

 

ベンチやネクストバッターズサークルから見る投球と、打席に立って目にする投球には違いがあります。初対戦、またはほとんど対戦経験がない投手の1球目にタイミングを合わせるのは、想像以上に難易度が高いです。

 

打者は自分の形を崩されると、バットを強く振れないと本能的に察知してスイングをやめてしまいます。このままスイングしても安打の確率が低いと分かるためです。初球を「振らない」のではなく、「振れない」のです。

 

初球を見逃さずにスイングするには、タイミングやバランスが重要になります。バットが出ない要因はメンタルではないため、指導者や保護者が「初球からバットを振れ!」と怒っても問題は解決しません。むしろ、逆効果です。選手がバットを振れない理由に目を向けて、課題を解決する練習をする必要があります。

写真はイメージ

■「バント」も好打者の条件 後ろから見る形に共通点

私は、現役時代も指導者になってからも幅広いカテゴリーの選手を見てきました。その中で、初球をスイングできるかどうかは、好打者の条件の1つと考えています。それだけ、高度な技術になります。

 

もう1つ、小・中学生を指導していて感じる好打者の共通点は「バント」です。バントを簡単に決める選手は、打撃も上手い傾向があります。

 

バントは、構えたバットの後ろから投球を見る形が大切です。打者の目、投球、バットが離れてしまうと、成功率は下がります。打撃も同じで、前傾姿勢で体が傾いた状態から、バットの後ろ側から投球を見る意識でスイングするフォームが理想です。投球の軌道に対してバットの芯を長く入れることができるため、安打にできる可能性を高められます。

 

私は現役時代、どちらかというとタイミングを取るのが苦手なタイプでした。初球をスイングできない選手の気持ちがよく分かりますし、初球を振れるかどうかは調子のバロメーターでした。

 

打撃は、カウントが不利になると打率が下がるのはデータから明らかです。初球やファーストストライクからバットを振るのは、戦略として間違っていないと思います。ただ、スイングしない選手を責めるのではなく、その理由を考えることが指導者の役割だと思います。

中学校で出張指導する水本さん

<プロフィール>

水本弦(みずもと・げん)

1995年2月23日生まれ。石川県野々市市出身。小学2年生の時に野球を始め、中学時代は白山能美ボーイズで全国大会に出場した。大阪桐蔭高校では3年生で主将を務め、甲子園で春夏連覇を達成。亜細亜大学でも主将を任され、リーグ優勝5回、日本一2回。東邦ガスではけがに苦しみ、2021年に現役引退。2023年5月に「株式会社Ring Match」を設立。野球経験者に特化した人材紹介、野球塾の運営、バットの開発・販売、就労継続支援B型事業を手掛ける。

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