2026/09/27
他人の家のタンスや押し入れも探索 空き家一軒が謎解き会場に 先行公演は4時間で完売
■実際の空き家で謎解きゲーム 制限時間は60分
普段なら勝手に開けられない、他人の家のタンスの引き出しや押し入れまで探していい。静岡市駿河区で、実際に人が暮らしていた一軒の空き家を丸ごと使った謎解きゲームが始まった。手紙や小物を手がかりに挑むのは、亡くなった祖母が遺した「遺産の謎」だ。
主演は「今をときめく人気男性アイドル」 新作ホラー映画を静岡市で撮影
謎解きゲームを手がける静岡市の「維新エンターテインメント」が9月19日、「空き家謎解きゲーム」をスタートした。第1作「おばあちゃんの遺産の謎」は、一軒家そのものを探索して謎を解く体験型のゲームで、8月に行われた先行公演ではチケットが受付開始から約4時間で完売した。
会場には居間や和室、台所があり、生活の痕跡が残されている。参加者は探偵キャラクター「たぬき探偵ジェリー」の助手となり、家の中を歩き回って手がかりを集め、制限時間60分で謎を解いていく。
テーブルの上だけで謎を解く形式とは違い、引き出しの奥や押し入れの中、棚など、家じゅうが探索エリアになる。専用施設につくられたセットではなく、本物の空き家を使っているのが特徴だ。驚かせるようなホラー演出はないという。

実際の民家の室内を自由に探索
■参加者61人にアンケート 10点満点で9.6点の評価
実際に参加した人からの評価も高い。公式サイトによると、9月19日から23日までの参加者アンケートでは61人が回答し、満足度は10点満点で平均9.6点。51人が10点満点を付けた。謎解きイベントへの参加が初めてだった22人の平均満足度も9.8点だった。
このゲームが生まれた背景には、会場となった家そのものの物語がある。運営会社は、謎解き店舗に「空き家募集」の貼り紙を掲示していた。2025年12月、所有者から「祖母が亡くなり、住んでいた家が空き家になっている。物が残っていても大丈夫か」と相談が寄せられたという。
祖母の思い出や暮らしの跡が残るその家が、そのまま第1作の着想源になった。通常なら片付けの対象になりやすい残置物も、謎解きでは物語や手がかりの一部として活用している。

謎解きの会場は静岡市の空き家
■全国的に増加する空き家 900万2000戸で過去最多
空き家は全国的に増加傾向が続いている。総務省の2023年住宅・土地統計調査によると、全国の空き家は900万2000戸で過去最多となった。住宅全体に占める空き家率も13.8%で過去最高。賃貸用や売却用、別荘などを除いた空き家は385万6000戸に上る。
同社の武友淳代表は「売れないから困っているのではなく、売りたくないから決められない。空き家の問題は、むしろそういう家のほうが多いのではないかと思います」とコメントしている。さらに、「誰かが長く暮らした家に残る気配は、後からつくれるものではありません」とも述べている。
同社は、会場として活用できる空き家を全国から募集している。賃料は月額3万円で同社が支払い、残置物はそのままで構わない。壊したり大きく改修したりするのではなく、残された家をそのまま生かす空き家活用だ。
公演は土日祝を中心に1日4回。2~6人の1組ごとの貸切制で、所要時間は説明や解説を含め約90分、推奨年齢は13歳以上となっている。料金は2人で1万円、6人で2万4000円(いずれも税込み)。詳しい会場の住所は、予約した参加者に開催日前日までに知らされる。
人が住まなくなった一軒の家を、暮らしの跡ごと新たな遊び場に変える。増え続ける空き家の、少し変わった使い方が静岡市で始まっている。
(SHIZUOKA Life編集部)








