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2022/10/16

スポーツの秋なのに……台風15号の被害で復旧長引く静岡市の安倍川河川敷広場

台風15号で被災した静岡市の安倍川河川敷スポーツ広場

■記録的大雨で深刻な被害 静岡市は国の制度を活用

青空が広がり、スポーツの秋にぴったりな週末。本来なら、子どもたちの走り回り、元気な声が響くはずの場所は静まり返っていた。少年野球チームの指導者をしている男性は遠くを見つめ「元通りになるまでは相当な時間がかかりそうですね」と声を落とした。代わりの練習場所を確保するのが難しく、今週の土日は活動できなかったという。

 

静岡市を流れる安倍川の河川敷にあるスポーツ広場。土日祝日になると、朝から野球、ソフトボール、サッカーなどを楽しむ子どもたちが集まる。チームの指導者や保護者も週末は、この河川敷で過ごすことが日常となっている。

 

しかし、スポーツ広場は今、これまでの姿と変わり果てている。グラウンドは凸凹で、大きく削れているところもある。流木や土砂もたまっている。遊歩道にまで砂利が流れている。

 

9月23日夜から24日未明にかけて静岡県に最も接近した台風15号の影響で、県内は記録的な大雨となった。スポーツ広場も冠水し、グラウンドを管理する静岡市は「当面の間、使用不可」とした。

スポーツ広場入口には静岡市が設置した看板

■全面復旧は2023年8月 一部グラウンドは市費投入で作業開始

静岡市は被害の大きさから、都市災害復旧事業制度を利用する。国土交通省の補助を受け、修復を進めていく予定だ。

 

静岡市はグラウンド入口に、「許可なくグラウンド内等に入らないでください。園路等に堆積している土砂等は持ち帰ったり、移動させたりしないでください」などと書いた看板を設置している。国の補助を受けるには災害査定が必要で、被災時の状態を保存するために復旧事業の対象となるグラウンドを整備しないことや、使用しないことを求めている。

 

静岡市はスポーツ広場の全面復旧が2023年8月頃になる見通しを示している。被害の規模が小さかった一部のグラウンドは市費を投入して、すでに復旧作業に入っている。全てを国費でまかなおうとすると整備の着手に時間を要するため、市費による復旧を先行させた形だ。

グラウンド横の遊歩道に積もった砂利

■少年野球の指導者「コロナでも子どもたちは我慢したのに…」

今の時期は、大会に参加したり、部員の募集に力を入れたりするチームが多い。今週の土日を休みにせざるを得なくなった少年野球チームの指導者は「新型コロナの次は台風。天災は避けられないとはいえ、体を動かす機会を奪われる子どもたちがかわいそうでなりません」と話す。

 

チームは、新型コロナウイルス感染拡大により活動を休止した期間もあった。ここ数年は大会も中止となり、子どもたちが望む形で活動ができなかったという。

 

「水や電気といったライフラインと違って、スポーツは生活に不可欠ではないかもしれません。国の支援を待たずにグラウンドを整備するには市民の税金を使うことになるので賛否両論あると思いますが、新型コロナでも我慢を強いられた子どもたちから、これ以上楽しみを奪わないように大人がサポートしなければいけないと思います」

 

安倍川河川敷のスポーツ広場は33カ所のグラウンドがあり、現在は山崎第6グラウンドと堤町A-1、A-2のみが使用可能となっている。多くのチームが練習場所を確保できない。この指導者は、スポーツ広場の早期復旧に加えて、安全面の問題などから土日祝日は開放していない学校の利用を臨時で認めてもらいたいと提言している。

 

(鈴木 梨沙/Risa Suzuki)

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