2025/07/13
物価高対策の本音 消費税減税は現金給付の5倍 静岡県内企業の叫び「一時しのぎはいらない」
■参院選の争点「物価高対策」 減税に効果感じる企業55%
現金給付より消費税の減税――。参議院選挙の争点となっている物価高対策で、減税を求める企業の声が高まっている。民間の調査会社・帝国データバンクのアンケートで、日本経済には「減税」が効果的と回答した企業が過半数を占め、「現金給付」の割合を大きく上回った。
参院選の投票日が7月20日に迫っている。争点の1つとなっているのが「物価高対策」。与党は現金給付を掲げ、野党は消費税の減税を訴えている。
この物価高対策について、帝国データバンクが全国の企業にアンケートを実施した。「日本経済にとって“より効果的”な物価高対策」を問う内容に対し、全体の54.9%が「消費税減税」を選んだ。「現金給付」の11.1%に大差をつけた形だ。残りの34.0%は「どちらともいえない」と回答している。
特に中小企業では55.8%が消費税減税を支持し、大企業(48.4%)よりも割合が高かった。物価高騰が続くなか、「持続的な消費喚起」や「日常的な支出負担の軽減」を求める現場の切実な思いが浮かび上がる。
静岡県内の企業からも、消費税減税に対する期待が相次いでいる。静岡市内で食品製造業を営む60代の経営者は「現金給付は一時的な効果にとどまる。消費税を下げれば、仕入れや材料費に直結するので、価格維持や従業員の待遇改善にもつながる」と語る。円安による原材料高が続く中、「見えにくいところで我慢している中小企業の声を、政策に反映してほしい」と訴える。
浜松市の住宅関連会社では、「設備投資に踏み切る判断が難しい今、消費税減税は資金繰りの不安を緩和できる」として、一定期間の減税による“心理的効果”にも言及する。
■政府に期待する対策トップは「社会保険料の軽減」
さらに、注目すべき点は「今後、政府に取り組んでほしい経済政策」についての設問だ。「社会保険料の軽減」が58.3%で最多となり、「中小企業支援の拡充」(49.3%)、「人手不足への対応」(40.4%)などが続いた。県内の中小企業からは「売上が上がっても、社会保険料の負担が大きくて賃上げに回せない。企業も従業員も苦しい状況にある」、「手取りが増えなければ消費も広がらない。まずは負担の見直しを」という声が上がる。
帝国データバンクは「消費税減税を選ぶ企業の数が現金給付を大幅に上回った。しかし、消費税減税を実行に移していくには、消費税で賄っていた社会保障などの財源を新たに確保する必要があるなど課題も多い」と指摘する。今後の見通しについては、次のようにコメントしている。
「円安など仕入れ価格上昇による物価高で、企業および消費者双方の負担が増している。こうした中で、対策として現金給付か消費税減税かという二者択一に終始することなく、財源問題なども含めて長期的な視点に立った政策立案と着実な実行が求められる。今後、政府には物価高によるコストの増加分を企業が適正に価格転嫁することで、企業収益や賃金が増え、消費を含む日本経済全体が活性化していくという好循環へつながる施策に取り組むことが期待される」
今回の調査は、参院選公示直後の7月4日から8日までインターネットを通じて実施された。有効企業回答数は1299社だった。
(SHIZUOKA Life編集部)