2025/08/21
静岡が鹿児島に抜かれて2位 30年以上守った一番茶 日本一陥落は「時間の問題だった」
■一番茶の生産量19%減少 1991年の調査開始から初のトップ陥落
ついに日本一から陥落した。今年の一番茶の生産量で静岡県が鹿児島に抜かれ2位となった。これまで守り続けてきたトップの座を明け渡したが、関係者からは「自然な流れ」、「今まで1位だったのがすごいこと」と悲観していない声も聞こえてくる。
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農林水産省が今年の一番茶の生産量を発表した。静岡県は昨年から19%減少して8120トンとなり、8440トンだった鹿児島県に抜かれて全国2位。静岡県は1991年の調査開始から30年以上トップだった。
静岡県は昨年、荒茶の生産量も鹿児島県に1位を奪われた。それまで60年以上トップの座を維持していた。一番茶でも鹿児島県に1位を譲った原因について、農林水産省は「4月から5月にかけて、静岡県では最低気温が低い日が多く、芽の成長に影響が出たこと」や「生産者の減少と高齢化」などを挙げている。
鹿児島県は4月に晴れる日が多く、適度に雨も降って天候に恵まれた。ただ、静岡県内の関係者からは「鹿児島県に抜かれるのは自然な流れ」、「静岡県の条件を考えると、今まで1位だったのがすごいこと。時間の問題だった」といった声が上がっている。
「静岡県の条件」とは、農地環境にある。静岡県では山の斜面を利用した茶畑が多い。機械で茶葉を刈るのは難しく、作業効率は良くない。当然、面積当たりの茶葉の収穫量も鹿児島県に劣る。手摘みは重労働で若い世代が積極的に参入せず、高齢化と人手不足が長年の課題で、生産量は右肩下がりとなっている。
関係者からは「茶葉の生産量で競うのではなく、単価を上げて若い人たちが興味を持つ環境を整えてほしい」、「静岡県は量ではなく、質で勝負している。ブランディングを高めることに県全体で取り組むべき」などの意見が出ている。日本一の称号もブランドイメージにつながるが、茶業を取り巻く環境を見直す時期に来ているのかもしれない。
(SHIZUOKA Life編集部)