2025/08/26
静岡県の企業を3年未満で離職 55%が教育体制に不満 県外に転職も9割はUターン希望
■教育体制や人間関係 入社前と入社後のギャップ浮き彫り
早期離職の理由は入社前と入社後のギャップにあった。福岡市に本社を置くメディア総研が、静岡県内の企業を3年未満で退職した20代を対象とした調査を実施。職場のサポートや人間関係が早期離職の要因となっている現実が明らかになった。
メディア総研は6月、技術職として静岡県内の企業に入社後、3年未満で退職した経験のある20代の社会人108人を対象に調査を行った。入社前に期待していたことは「OJTや育成体制が整っていると思った」が44.4%と最も高かった。次いで、42.6%が「最先端の設備や製品に関われると思った」と答えた(複数回答)。
一方で、実際に働いて「入社前の説明と違った」と感じた点は「教育・研修の進め方やフォロー体制」が52.8%で半数を超えた。また、「指導する上司・先輩との関わり方」が37.0%、「社内の人間関係」は25.0%と上位に挙がり、職場でのサポート不足や人間関係が早期離職の大きな要因となっていることが明らかになった。
自由回答では「仕事と関係のない業務を任された」、「残業時間が上司によってバラバラ」、「社内の雰囲気が想像と違った」といった声も寄せられており、ミスマッチが鮮明に表れている。
早期退職の理由については、「教育・サポート体制に不満があった」が55.6%を占めた。「人間関係が合わなかった」は33.3%、「働き方が厳しかった」が30.6%と続いた。入社前に企業から提供され印象に残った情報は「仕事内容の詳細説明」や「福利厚生の説明」が上位に挙げられたが、実際の現場での教育体制や人間関係といった“見えにくい部分”が離職の決定打となる傾向がうかがえる。

写真はイメージ
■若手人材の職場定着 「企業の情報発信」がカギ
現在の勤務先を尋ねると、「県内で働いている」が38.0%、「県外で働いている」が41.6%という結果になった。注目すべきは、県外で勤務している人の約9割が「静岡県内で再び働きたい」と回答している点だ。人材の流出は続いているものの、地元への愛着やUターン志向は根強いことがわかる。
今回の調査は、求人媒体やSNS経由で企業を知って教育やキャリアに期待を抱いたものの、実際にはサポート不足や人間関係で離職に至ったという若手の実態を示している。採用情報と現場の実情にギャップがある現状では、応募者が知りたいと回答した「現場の雰囲気・人間関係(50.9%)」や「残業・休日出勤の実態(27.8%)」といった情報を、企業が積極的に発信する必要があるだろう。
メディア総研は調査結果を受け、「人材不足が深刻化する中で、企業が発信する採用情報と実際の職場環境との間にギャップが生じており、特に現場の雰囲気や指導体制の実態について、より具体的かつ透明性のある情報開示が求められています。企業側は、採用段階から現場の実情を正確に伝え、入社後の教育・サポート体制を充実させることで、貴重な若手人材の定着率向上と地域産業の持続的な発展につなげていくことが重要でしょう」とまとめている。
(SHIZUOKA Life編集部)