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2025/09/26

4社に1社が外国人を雇用 1年前から上昇も課題山積み 採用拡大伸び悩むワケ

■外国人雇用する企業24.7% 人材派遣・小売・飲食で高いニーズ

外国人を雇用する企業の割合が高まっている。静岡県を含む全国の企業を対象としたアンケートで、4社に1社は外国人労働者を受け入れていることが明らかになった。

 

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民間の調査会社・帝国データバンクの「外国人労働者の雇用・採用に対する企業の動向調査」によると、現在外国人を雇用していると回答した企業の割合は全国で24.7%に上った。調査は今年8月に実施され、昨年2月の前回調査から1.0ポイント上昇した。

 

調査は全国2万6162社を対象にインターネットで行われ、有効回答は1万701社(回答率40.9%)だった。東海地方(愛知・岐阜・三重・静岡)も含まれており、静岡県内でも飲食業や製造業、小売業を中心に人手不足を背景とした外国人雇用のニーズが高まっている。

 

一方で、今後採用を拡大する意向があると回答した企業は14.3%にとどまり、前年調査(16.7%)から2.4ポイント減少した。内訳をみると、すでに外国人を雇用しており、さらに採用を増やすと答えたのは3.1%。雇用していない企業で新たに採用を始める意向を示したのは11.2%だった。雇用そのものは拡大傾向にあるが、積極的に採用を広げようとする企業は限定的であることが浮き彫りになった。

 

業種別では、人材派遣・紹介業が36.6%でトップとなり、次いで各種商品小売業(29.5%)、飲食店(28.2%)、運輸・倉庫(23.1%)などが続いた。サービス業や小売業など個人向けの分野で外国人採用のニーズが高く、特定技能制度の対象業種に含まれる飲食、運輸、農林水産、紙加工品製造、メンテナンスなども上位に入った。昨秋に特定技能の対象に追加された自動車運送業では、採用意欲の高まりも確認された。

 

■教育やコミュニケーションに課題 連絡なしの欠勤や退職も

調査では課題も明らかになった。外国人を雇用する際の問題点については、「スキルや語学などの教育」が55.8%、「コミュニケーション」が55.7%と過半数を占め、前回調査に続き突出して高い結果となった。実際の企業からは  「現在、技術者候補の方に従事してもらっているが、語学面に関しては会社側だけでなく、本人も苦労している部分が大きい」、「過去に雇用したこともあるが、文化の違いから既存社員と融和できなかった。連絡なしでの欠勤やすぐに辞めてしまう」といった声も寄せられている。

 

さらに「宗教による生活様式の違いへの配慮」(24.3%)、「継続性・定着」(38.9%)、「社風や業務内容への適応」(35.4%)といった項目も3~4割の企業が課題として挙げており、単なる採用だけではなく、受け入れ体制の整備が大きな課題であることが分かる。

 

静岡県内でも製造業や農林水産業、物流分野を中心に人材不足は深刻化しており、外国人労働者が地域経済を支える存在として期待されている。しかし、教育・研修や生活面でのサポートにはコストと労力がかかり、個別企業の取り組みだけでは限界がある。帝国データバンクは「政府主導で円滑な労使関係を構築する仕組みづくりが必要」と指摘している。

 

外国人労働者数は全国で230万人を超え、雇用事業所数も34万カ所を突破した。今後も増加が見込まれる中、企業が持続的に人材を確保するためには、語学教育や生活支援といった環境整備が避けて通れない。静岡県を含む各地域での事例は、全国の今後を占う重要なサンプルとなりそうだ。

 

SHIZUOKA Life編集部)

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