2025/12/06
高齢者施設で集団食中毒 103歳の患者も 原因は「ウエルシュ菌」 予防する調理法は?
■高齢者施設の利用者と介護職員 41~103歳の男女7人が食中毒
静岡市の高齢者施設で集団食中毒が発生した。41歳から103歳の男女7人が下痢などの症状を訴えた。原因となった「ウエルシュ菌」は調理の仕方で避けられるという。静岡市内では食中毒の患者が昨年より大幅に増えており、市が注意を呼びかけている。
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静岡市によると、11月24日に駿河区の有料老人ホームで昼食を食べた施設利用者らが体調不良を訴えた。患者の便を検査した結果、「ウエルシュ菌」が検出され、市は食中毒と断定した。
食中毒の症状が表れたのは41歳から103歳までの男女で、施設利用者のほかに介護職員も含まれている。いずれも下痢などの症状を訴えたが、現在は快方に向かっているという。
当日に提供された昼食のメニューはわかめご飯、豚肉の塩こうじ炒め、じゃが芋のカレーソテー、ブロッコリーの胡麻和え、みそ汁だった。食事は施設内で調理された。調理従事者の検便からウエルシュ菌は検出されなかったことから、調理過程の温度管理や保存方法が原因となった可能性が高いとみられる。

写真はイメージ
■ウエルシュ菌が原因 混ぜながら調理などで食中毒予防
ウエルシュ菌は自然界に広く分布し、ヒトや動物の腸管、土壌、水中などに存在する。43〜47℃で活発に増殖し、加熱しても「芽胞」と呼ばれる殻の状態で生き残るのが特徴だ。潜伏期間は6〜18時間で、症状は下痢や腹痛が中心。嘔吐や発熱はあまり見られない。
ウエルシュ菌は粘度の高い食品や、煮物・シチュー・カレーなど一度に大量調理する施設で発生しやすいとされる。加熱しながら料理をかき混ぜたり、作り置きを避けたりすると、食中毒の発生を防ぐことができる。市は、以下の対策を呼びかけている。
・前日調理や作り置きを避ける
・調理後はすぐに食べる
・十分にかき混ぜながら加熱する
・再加熱時は中心温度75℃で1分以上
・大量調理では10〜60℃に置かれる時間を極力短くする(小分け・急冷)
市は今回の食中毒発生を受け、施設に対して12月5日から当分の間の営業禁止命令を出した。 静岡市内での食中毒発生は今年、大幅に増えている。今回の件を含めて7件・171人となり、前年同期の3件・60人を大きく上回っている。市は「高齢者施設や大量調理施設は特に注意が必要」として、改めて調理管理の徹底を求めている。
(SHIZUOKA Life編集部)








