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2026/05/17

高校球児に憧れた小学生 7年後に“教える側”で恩返し 甲子園優勝校に引き継がれた野球教室

小学生の質問に答える韮山高校の野球部員

■韮山高校で初めて 高校球児による野球教室

かつて憧れた存在に、自分自身がなっていた。静岡県にある韮山高校で、野球部員が小学生を指導する野球教室が開催された。野球教室は今春から同校に赴任した稲木恵介監督が長年取り組んでいる野球振興の一環で、今回は小学生時代に参加した選手が教える立場として子どもたちと交流した。

 

【写真で見る】富士高校野球部でも開催 地元の子どもたちを招いた野球教室

 

伊豆の国市にある韮山高校は、県東部屈指の進学校として知られている。野球部は創部130年の歴史があり、甲子園には春夏一度ずつ出場。初出場した1950年のセンバツでは優勝を果たした。

 

その伝統ある野球部で5月2日、野球部員による野球教室を初めて実施した。沼津市の小学生硬式野球チーム「沼津リトル」を招き、野球部員が企画から当日の運営まで全てを担当した。

 

仕掛け人は、今年4月に韮山高校へ赴任した野球部の稲木監督。園児や小学生を対象にした野球部員による野球教室は三島南高校、富士高校に続いて3校目で、今回が60回目となった。

野球教室は韮山高校の野球部員が企画・運営

■メニュー考案のリーダー 7年前に小学生で野球教室に参加

2018年に三島南高校でスタートし、60回目で初めての出来事があった。今回の野球教室のメニューを考えた韮山高校の池谷颯真選手は2019年2月3日、三島南高校で開かれた野球教室に“教わる側”として参加していた。7年余りの時を経て、今度は“教える側”に立ったのだ。池谷選手を野球教室当日のリーダーに指名した稲木監督にとっても、特別な意味を持つ1日となった。

 

「過去の野球教室に小学生で参加していた池谷選手が在籍する韮山高校に赴任し、その池谷選手をリーダーとして野球教室を実施したことは非常に感慨深いです。次の世代に野球をつなげていくことや、高校生がその担い手となることへの意義を感じました。韮山高校でも、野球を通じて幅広い活動を展開し、地域を担う高校生とこれからを背負う子どもたちの架け橋となりたいと思いました」

 

野球教室のメニューは、小学生の頃に池谷選手が体験した内容をもとに構成した。ウォーミングアップからスタートしてキャッチボールやノック、バッティングや実戦形式と総合的に野球を学べるメニューを意識。さらに、野球部員がフリー打撃やシートノックを披露する時間も設けた。開催1週間前から野球教室の進行を考えていた池谷選手は、こう話す。

 

「自分が小学生の時、高校生のプレーのかっこよさに憧れました。今回の野球教室では、野球のプレーはもちろん、グラウンド内での振る舞いといった人間性や品格を含めて、子どもたちにかっこいいと思ってもらえるメニューと行動を大切にしました」

今年4月に韮山高校へ赴任した稲木監督

■稲木監督から「満点」の評価 小学生のチームは感謝

小学生からの質問コーナーでは、「内野ゴロを上手く捕るコツ」や「韮山高校に入学する方法」を問われた。野球部員は「手だけで捕りにいくと足が止まってしまうので、足のリズムを大事にすると良いと思います」、「毎日の宿題や授業を大切にして、特に算数を一生懸命勉強してください」とアドバイスを送った。

 

約3時間半の野球教室を終え、稲木監督は「初めての野球教室としては満点です。選手たちは終始、小学生の様子に注意を払い、楽しみながらも真剣に野球に取り組んでいました」と評した。沼津リトルの川口智監督も「池谷選手が小学生時代に教わった野球教室の経験は、大人が考える野球教室のメニューよりも遥かに子どもたちに寄り添った内容だったと感じました。野球で受け取った恩を野球で返す素晴らしい取り組みであったと思います」と感謝した。

 

かつて高校生の背中を追いかけていた少年は今、小学生の目標となる存在へと成長した。稲木監督が全国に先駆けて取り組んだ高校球児による野球教室は、学校の枠や世代を超えて受け継がれている。

韮山高校野球部は小学生のチームと交流

(間 淳/Jun Aida

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