2026/05/25
バイトテロや情報漏洩への備えに遅れ 従業員のSNSルール 企業の7割が未整備
■SNSの社内ルール 整備している企業は23.2%
バイトテロや情報漏洩、何気ない投稿から広がるネット炎上――。SNSへの投稿が、企業の信用を揺るがしかねない時代になっている。それでも、従業員個人のSNS利用に関するルールを整えている企業は、まだ少数派のようだ。
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帝国データバンクが実施した「SNS投稿に関する社内ルールの整備状況アンケート」によると、従業員の私的なSNS利用による情報漏洩や炎上リスクに対し、社内ルールを整備している企業は23.2%にとどまった。一方で、現時点でルールがない企業は68.8%に上り、企業の備えには大きな差がある。
調査は5月8日から12日にかけてインターネットで実施され、全国1355社から有効回答を得た。従業員が個人として利用するSNSで、社内情報の投稿など企業の社会的信用を損なう恐れのある発信を制限するルールがあるかを尋ねた。
「ルールがある」と回答した企業からは「SNSでの情報漏洩防止について就業規則に定めている」「社内行動規範を基に、SNSの私的利用のリスクなどを教育している」といった声が寄せられた。
一方で、「ルールはないが、検討中」は36.8%、「ルールを設ける予定はない」は32.0%だった。両者を合わせると68.8%となり、現時点では多くの企業でルールが未整備であることが分かった。
■ルールづくりに戸惑う声 企業の規模でも差
ルールを整えていない企業側にも、戸惑いはある。調査では「年々、指導だけでは不十分な面もあり、ルール作りを検討している」「どこまで制限し、どこまで自主性にゆだねるかの判断が難しい」「ルールを設けても抑止力は軽微であり、ほとんど意味をなさないのではないか」といった声が紹介されている。
SNSは、仕事と私生活の境界をあいまいにしやすい。本人に悪意がなくても、職場の写真、取引先に関する情報、勤務中の様子、不適切な言動などが外部に広がれば、企業の信用低下につながる恐れがある。投稿者個人の問題にとどまらず、会社の売り上げや採用、取引関係にも影響する可能性がある。
一方で、会社が従業員の私的な発信にどこまで踏み込むべきか判断するのは簡単ではない。強く制限しすぎれば、プライバシーや表現の自由との兼ね合いが問題になる。かといって、すべてを個人の良識に委ねれば、万一のときに組織としての備えが不十分になる。企業は、その難しい線引きに直面している。
対応の差は、企業規模によっても鮮明だ。大企業では、「ルールがある」と回答した割合が50.5%と半数を超えた。一方、小規模企業では9.8%と1割を下回った。また、「ルールを設ける予定はない」と答えた割合は、小規模企業で43.0%に上った。大企業の17.2%に比べると、対応姿勢には大きな開きがある。
リソースが限られる小規模企業では、専門部署を置いたり、研修を継続的に実施したりする余裕がないケースもある。日々の業務に追われるなかで、SNSのルールづくりが後回しになることも考えられる。一方で、SNS上の投稿は企業規模に関係なく拡散する。小規模企業ほど、一度の炎上や信用低下が経営に与える負担は重くなりかねない。
■業種でも大きな違い サービス業は最も高い27.9%
業界別では、一般消費者との接点が多いサービス業で、ルールを策定している企業の割合が27.9%と比較的高かった。運輸・倉庫は25.0%、卸売は23.6%、製造は22.4%、小売は19.8%だった。不動産は11.8%にとどまり、業界によっても従業員のSNS投稿に対するリスク管理の姿勢に差が見られた。
帝国データバンクは調査結果について、「対策が十分に整っていない小規模企業や個人の倫理観と常識的判断に委ねる企業では、法的責任や社会的信用の低下といった経営リスクへの備えが課題になる」と指摘している。
もちろん、ルールをつくればすべての問題を防げるわけではない。企業側からも「社内ルールを制定しても管理ができるか不安」、「細かなルールを作ったとしても、なかなか素直に従ってくれるとは思えない」といった声が出ている。形式的なルールだけでは、現場に浸透しない可能性もある。
必要なのは、単なる禁止事項の列挙ではなく、具体的な場面を想定した共有だ。職場や取引先が写り込んだ写真、勤務中の軽い冗談や愚痴が、なぜ会社の信用問題に発展し得るのか。従業員が納得しやすい形で伝えることが、実効性を高める一歩になる。
何気なく投稿した一言が、一瞬で広がる時代。会社とSNSの距離感をどう定めるのか。従業員を縛るためではなく、組織と働く人の双方を守るためのルールづくりが、改めて問われている。
(SHIZUOKA Life編集部)










