2026/06/03
100年超の老舗企業は静岡県に1607社 最多業種は納得の結果 売上規模は意外にも…
■静岡県の老舗出現率3.34%で全国19位 トップは京都府の5.45%
静岡県内には、100年以上続く企業が1600社以上ある。街の姿も、人々の暮らしも、産業の形も大きく変わってきたこの100年。その間、地域に根を張り、商いを続けてきた企業は、静岡県内にどれほどあるのか。帝国データバンク静岡支店の調査で、県内の「老舗企業」の実態が明らかになった。最も多かったのは、静岡らしさを象徴する「製茶業」だった。
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帝国データバンク静岡支店が発表した「静岡県・老舗企業分析調査」によると、2025年12月時点で、業歴100年を超える県内企業は1607社だった。県内企業に占める老舗企業の割合を示す「老舗出現率」は3.34%で、都道府県別では全国19位となった。
調査では、創業・設立から100年以上の企業を「老舗企業」と定義して分析している。1925年(大正14年)に創業した61社が新たに老舗企業に加わった。1925年は現在のNHKがラジオ放送を開始し、普通選挙法が公布された年にあたる。そうした時代に産声を上げた企業が、今も静岡県内で事業を続けていることになる。
全国の老舗出現率を都道府県別に見ると、最も高かったのは京都府の5.45%だった。山形県の5.44%、新潟県の5.07%が続き、3府県が5%を超えた。静岡県の3.34%は全国平均の3.11%を上回っている。

製茶業は静岡県を象徴する産業の1つ
■業種別の最多は「製茶業」 売上高は8割以上が10億円未満
静岡県内の老舗企業を業種別に見ると、最も多いのは製造業で、全体の26.0%を占めた。次いで小売業が23.0%、卸売業が20.8%。この3業種だけで、老舗企業の約7割を占めている。企業全体では建設業やサービス業も多いが、100年以上続く企業では製造、小売、卸売の存在感が大きい。
さらに業種を細かく見ると、最も多かったのは「製茶業」の77社だった。静岡県は日本有数のお茶の産地として知られ、県内各地に茶畑が広がる。調査では、こうした地域性や「静岡茶」のブランド力が、老舗企業の分布にも表れているとみられる。
次いで多かったのは「貸事務所業」の53社だった。古くから保有する不動産を活用し、オフィスビルを建設するなど、時代に合わせて業種を変えてきたケースが多いという。長く続く企業には、同じ商売を守り続ける力だけでなく、環境の変化に応じて事業の形を変えていく柔軟さもある。上位に入っているのは、お茶、水産、旅館、酒類、建設といった静岡県の産業や地域の暮らしを支えてきた業種が目立つ結果となった。
一方で、今回の調査からは老舗企業の意外な実態も見えてくる。100年以上続く企業と聞くと、規模の大きな会社を想像する人もいるかもしれない。しかし、売上高が判明している老舗企業を売上規模別に見ると、「1億円未満」が43.4%、「1億円以上10億円未満」が39.6%だった。売上高10億円未満の企業が8割強を占めている。
つまり、県内の老舗企業の多くは、必ずしも大企業ではない。地域に必要とされる仕事を続け、身の丈に合った経営を重ねながら、100年という時間を積み上げてきた企業が少なくないことがうかがえる。

写真はイメージ
■業歴30年以上の倒産3263件 過去10年で最多
全国では、老舗企業は4万6708社となり、老舗出現率は初めて3%を超えた。老舗企業の9割は明治・大正時代に創業・設立した企業で、江戸時代以前に創業した企業は約3600社に限られるという。
ただ、長く続いてきた企業も安泰ではない。2025年には全国で142社の老舗企業が倒産した(負債1000万円以上)。価格転嫁が進まない企業や、ガバナンスの問題が表面化した企業の倒産もあった。老舗企業を含む業歴30年以上の企業の倒産件数は、過去10年で最多の3263件に上っている。
100年続く企業には、伝統を守る力だけでなく、時代の変化に合わせて事業を見直し、新たな需要を捉えていく力も求められる。調査では、静岡県内の老舗企業数は増加を続けており、今後の老舗出現率は高まる見通しだとしている。
茶畑や商店街、港町、温泉地。静岡の各地で日々の暮らしを支えてきた企業の中には、100年を超える歴史を持つ会社がある。数字の裏側には、地域とともに歩み、変化を受け入れながら続いてきた企業の積み重ねが見えてくる。
(SHIZUOKA Life編集部)








