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2022/12/15

明暗分かれる大河ドラマ効果 「どうする家康」成功のカギは幻の食材とマリンレジャー

徳川家康が17年間在城した浜松城

■来年1月から「どうする家康」 浜松市舞台は2017年「おんな城主 直虎」以来

来年1月から放送が始まるNHK大河ドラマ「どうする家康」への期待が、静岡県内で高まっている。徳川家康と縁の深い静岡市と浜松市では、ドラマに主演するタレントの松本潤さんらが参加する出陣式を予定している。観光客の増加や経済波及効果が期待される中、過去に放送された大河ドラマでは“恩恵”に明暗が分かれている。

 

「どうする家康」は来年1月8日に始まる。初回放送日には、静岡市と浜松市で出陣式が予定されており、松本潤さん、山田裕貴さん、杉野遥亮さんが参加する。静岡市の会場には定員3300人に対し、7万6831人が応募。抽選倍率は23.3倍となった。

 

ドラマ放送前から注目が高まっている「どうする家康」。静岡市と浜松市ではドラマによる観光客の増加を期待している。一過性のブームで終わらせないためには、ドラマをきっかけに静岡県を訪れた観光客をリピーターにする必要がある。

 

静岡県西部地域を中心とした経済動向を分析するシンクタンク「しんきん経済研究所」によると、大河ドラマを放送した年と翌年の観光客数は自治体によって明暗が分かれている。

 

■「真田丸」の長野は観光客誘致に失敗 「花燃ゆ」の山口は成功

浜松市を舞台とし、2017年に放送された「おんな城主 直虎」は放送前年の観光客数を100とした場合、浜松市では放送年は108に増えた。しかし、放送翌年は96と減少している。静岡県全体では放送年は102、翌年は100だった。

 

他の自治体を見ると、長野県は2016年の「真田丸」で放送年は90、翌年は87と観光客誘致につながらなかった。2018年に放送された「西郷どん」の舞台となった鹿児島県は放送年が104、翌年は98と、「おんな城主 直虎」と同じ傾向だった。

 

一方、2015年の「花燃ゆ」で舞台となった山口県は放送年が105、翌年は112と数字を伸ばしている。しんきん経済研究所は、山口県が地域独自の貴重な体験施設や名物の情報を積極的に発信し、大河ドラマをきっかけに訪問した人が地域のファンになる施策を行ったことを観光客増加の要因としている。

大きなハサミが特徴的なドウマン蟹

■ドウマン蟹、マリンレジャー 浜名湖の魅力PRが成功のカギ

そして、浜松市が「どうする家康」の“恩恵”を受けるには、浜名湖で獲れる希少食材「ドウマン蟹」や、浜名湖のマリンレジャーといった地元の魅力発信を挙げた。

 

ドウマン蟹は生息地域が極端に少なく、「幻の食材」と呼ばれている。身がしまっていて濃厚な甘みが特徴。大きなハサミで指を挟まれると骨まで達する力があるため、ハサミを縛って出荷される。値段は変動するが、1匹1万5000円ほどで販売されている。

 

また、浜名湖はクルージングも人気。船上で食事を楽しむものや、時速70キロで駆け抜けるスピードボートなど幅広い楽しみ方ができる。

 

しんきん経済研究所は、新型コロナウイルス感染拡大により少人数での旅行が主体となっていることから「大河ドラマ放送年に大幅な増加を目指すのではなく、観光客の満足度を高め、リピーターを増やす取り組みが重要」と指摘。ドラマ放送翌年も地域一体となったイベント開催をポイントに挙げている。

 

SHIZUOKA Life編集部)

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