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2023/02/14

元気いっぱいな姿の裏で 静岡のCM女王も子育てに苦労 息子の成人式に人生最高のご褒美

吉田町で子育てをテーマに講演した久保ひとみさん

■久保ひとみさん吉田町で講演会 育児の経験談披露

いつも明るい人気者にも育児の苦労があった。静岡県内でリポーターやラジオパーソナリティとして活躍する久保ひとみさんが12日、静岡県吉田町の学習ホールで講演した。現在25歳になる息子の思春期は学校でいじめられないか心配し、控え選手だった部活動ではどのようにモチベーションを上げるか頭を悩ませた。そして、息子が成人式を迎えた日、人生最高のご褒美が待っていた。

 

テレビ番組にCM、ラジオパーソナリティと、その声を聞かない日はないくらい久保さんの存在は静岡県民に知られている。明るいキャラクターで、いつも周囲を元気にするパワーが最大の特徴だが、育児に悩んだ時期もあった。

 

久保さんは吉田町民を対象にした講演会「子育てでよしだを盛り上げよう!~久保ひとみさん元気の秘訣~」で登壇し、一段落した育児の話を披露した。経験談には、育児中の保護者が悩みを解決するヒントが詰まっていた。

 

現在53歳の久保さんには、25歳の息子がいる。出産の前後数か月だけ仕事を休んだ以外は、今と変わらぬ元気いっぱいの姿でテレビやラジオに出演していた。

 

■「私の仕事のせいで息子はいじめられないか不安」

息子が小学生になった頃、久保さんの仕事は忙しくなった。中には、有名歌手の仮装をしたり、ニシキヘビを首に巻いたり、レオタードを着てトランポリンに挑戦したり、芸人顔負けの体を張った仕事もあった。お茶の間の人気者になる一方、母親としての心配が頭をよぎったと当時を振り返る。

 

「私の仕事のせいで、息子が学校でいじめられないか不安でした」

 

インターネットが主流の今とは違い、テレビは小学生や中学生の娯楽だった。久保さんの姿は当然、息子の同級生もテレビで見ている。ただでさえ、思春期や反抗期を迎える時期の育児は難しい。久保さんが不安を感じるのは当然だった。

 

だが、幸いにも心配は杞憂に終わった。息子がいじめられることはなかった。久保さんは「息子は友達に恵まれました。同世代の人を中心に地元の方々にも守られました」と感謝する。

 

仕事に追われる毎日だったが、久保さんは息子が所属するバスケットボール部の応援にも行っていた。ただ、試合で出番はなし。母親譲りの遠くまで通る声で、ベンチから仲間を鼓舞していたという。

 

■部活は控えでも褒める 受験の時期は弁当にメッセージ

子どもに試合で活躍してほしいと思うのが親。しかし、久保さんは「試合に出られるように頑張りなさい」というような声をかけなかった。

 

「一生懸命練習している以上、息子も試合に出たいはずです。でも、そこには触れません。いつも大きな声で仲間を応援していたので、『きょうも、いい声が出てたね』と褒めていました」

 

久保さんは子どもを褒める大切さを、講演会の参加者に訴えた。頑張っているところに気付いてもらい、褒められた子どものモチベーションは上がる。たとえレギュラーで試合に出られなかったとしても、前向きに部活を続けられる。

 

全面的に声援を送り続けた部活と違い、息子が受験の時期は陰ながら応援した。「勉強の調子はどう?」、「頑張ってね」と直接声をかけるとプレッシャーを与えてしまうと考えた久保さんは、毎日作っていた弁当にメッセージを込めた。

 

「直接言葉を伝えるのが難しい時期があります。息子と衝突したこともありました。そんな時は、お弁当のノリでファイト、頑張れと文字にしました。時々、お弁当にメッセージカードも入れていました」

息子の成人式にお姫様抱っこしてもらった写真を紹介する久保さん

■成人式に息子からご褒美 お姫様抱っこで写真撮影

他の母親と比べたら、親子で一緒に過ごす時間は短かったかもしれない。だが、仕事も家事も育児も全力だった久保さんの努力を息子は知っていた。成人式の日、子育ての苦労が報われた瞬間が訪れた。

 

久保さんは、スーツ姿の息子と記念撮影。その時、体が宙に浮く。いつの間にか自分よりはるかに体が大きくなっていた息子に、お姫様抱っこをされていた。「苦労はありましたけど、子育てを頑張って良かったと思えた瞬間でした。大きなご褒美です」。そして、会場にいる子育て中の人たちに語りかけた。

 

「今は子育てが大変だと悩んでいる人にも、必ずご褒美があります。あとから振り返ると楽しかったと思えるはずです」

 

育児に悩んでいる時は、他の母親には苦労がないように見えるかもしれない。だが、実際は誰もが悩み、不安になっている。テレビ画面で元気いっぱいの久保さんも、心配や葛藤を抱えながら子育てをしていたのだから。

 

(間 淳/Jun Aida

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