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2023/02/20

育児や教育の悩みは性教育にヒント 教員中心に静岡で35年以上活動する学びの場

今月上旬に静岡市で開催された「“人間と性”教育研究協議会」静岡サークルの定例会

■“人間と性”教育研究協議会・静岡サークル 東京に本部

静岡県には性や命について学ぶ場がある。「“人間と性”教育研究協議会」静岡サークル。子どもの心が安定しない。育児や教育に自信が持てない。保護者や教員の悩みを解決する糸口は、性教育にあるかもしれない。

 

「“人間と性”教育研究協議会」は東京に本部を置く一般社団法人で、静岡県にもサークルがある。2か月に1回の定例会をはじめ、性教育を学びたい人には門戸が開かれている。

 

静岡サークルの活動は35年以上続いている。かつて100人ほどいた会員は現在50人弱まで減っているが、性教育の大切さが色褪せているわけではない。性犯罪の低年齢化や性の多様化を考えれば、むしろ必要性は高まっている。

 

性教育をテーマにしていることから、会員は小、中学校に勤務する教員の割合が高い。その他にも養護施設の職員や助産師、飛び入り参加も可能な定例会には大学生が参加する時もある。

 

■活動に加わって15年超の女性教員 性教育学んで生徒の指導に自信

性教育と聞くと、思春期の体や心の変化をイメージする人は多い。学校でも家庭でも、敬遠されがちなテーマだろう。しかし、この協議会に長年所属する教員たちは「性教育を学んでいて良かった」と口を揃える。15年以上が経つ女性教員の1人は、こう振り返る。

 

「ここで性教育を学ぶ前は、学校で子どもたちがズボンをずらしたり、性的な言葉でからかったりしているのを見ても、何もできませんでした。性教育の必要性は感じていても、何をすれば良いのか分かりませんでした」

 

小、中学生の時期は性的な関心が高くなる。大人にとっては「自然なこと」と分かっていても、思春期の子どもたちは悩み、戸惑う。女性教員も自身が子どもの頃、性教育を受けた記憶がないという。そして、正しい知識を教わったり、相談できる大人が身近にいたりしたら、「周りの人との関わり方や生き方が変わったかもしれない」と回想する。だからこそ、教員となった今、使命感を抱いている。

 

「性について関心を持つ思春期は誰もが通る道です。大人は『あの頃、こうすべきだった』という考えがあるはずなのに、なぜ今の子どもたちに伝えていかないのか矛盾を感じます。性教育は大人が担う責任だと思います」

 

女性教員は静岡サークルで活動する先輩から性教育の知識や子どもたちへの伝え方を学び、自身の授業に生かしてきたという。そのメッセージは命や人権にも及ぶ。自信を持って性教育の授業ができるようになり「子どもたちへの接し方に迷いがなくなりました。子どもたちから相談を受ける機会も増えました」と語る。

2か月に1回開催されている定例会

■「学級担任こそ性教育を」 生徒の問題行動はサイン

性教育の授業は、保健体育の教師や養護教諭が担当するケースが多い。しかし、静岡サークルに長年所属する別のメンバーは「学級担任こそ、性教育を学ぶべき」と強調する。子どもがクラスメートのズボンを下ろすなどの問題行動は、性教育を求めているサインだという。

 

静岡県内のある中学校では、校内に性的な落書きが増えた時期があった。そこで、性教育の知識が豊富な教員が心や体の変化、さらには生命の誕生に関する授業をすると、落書きは一切なくなったという。性教育の授業によって、生徒たちの問題行動が改善された中学校もあった。

 

性への欲求は成長の証。心のサインを受け止めて肯定してもらった子どもたちは納得し、落ち着きを取り戻す。問題行動を禁止しても根本的な解決にはつながらないのだ。こうした対応ができる大人が子どもに必要とされるのは自然で、学級担任であれば性教育を通じて児童・生徒と信頼関係が高まる。

 

SNSの普及などによる性犯罪の低年齢化、LGBTQに代表される性の多様化。命や人権に直結する性の学びは重要度が高まっている。教員が性教育を学ぶ場はある。一歩踏み出す人の数が増える分だけ、不安や悩みが解消される子どもは増えていく。

 

(間 淳/Jun Aida

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