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2023/07/11

働き方の変化に対応追いつかず… 学童保育の利用希望者大幅増加 場所と支援員確保に課題

共働き家庭の増加などで需要が高まっている学童保育

■利用希望者3万7033人 待機児童は661人に減少

静岡県は放課後児童クラブ(学童保育)に関する速報値を発表した。少子化が加速する中、利用希望者数は3万7000人を超え、昨年度より増加している。待機児童数は減少しているものの、県内の661人が学童保育を利用できずにいる。

 

保育園に入れない待機児童の問題は改善しつつある一方、学童保育の待機児童は全国的に課題となっている。今年3月には「#学童落ちた」がツイッターでトレンド入りしている。

 

学童保育は、保護者が共働きなどで昼間は自宅にいない小学生に遊びや生活の場を提供する場所。主に学校の教室や児童館、公民館が使われている。児童のために質を確保するため、政府は施設の広さ、職員の資格や人数、子どもの数、開所日数や時間の基準を定めている。

 

静岡県の発表によると、今年5月1日時点で県内には776か所の学童保育施設がある。学童保育に登録している児童と待機している児童を合わせた利用希望者数は3万7033人で、昨年度より1201人増えている。待機児童は142人減っているとはいえ、依然として661人が学童保育を利用できずにいる。

 

学童保育の利用者数増加と待機児童は、首都圏を中心に課題となっている。共働き世帯が7割を超える働き方の変化が背景にある。自治体が整備を進めているものの、スピードが追いついていない状態だ。

 

■施設の広さや支援員の数で児童の受け入れ人数決定

学童保育の待機児童を簡単には解消できない理由は、場所と支援員の確保にある。学童保育の希望で特に多いのは小学校低学年。学校と同じ敷地内または徒歩数分の距離に場所が設けられていれば大きな問題はないが、距離が離れれば安全面の確保や送迎などの問題が生じる。

 

また、学童保育の定員数は施設の広さと支援員の数で決まる。支援員が少なくなれば児童へ目が行き届かないので、受け入れられる人数は減る。年末年始以外は土曜日も開所している学童保育も多く、労働時間の長さから支援員に興味があっても敬遠する人が少なくないという。子どもたちを預かる以上、支援員の人数だけを確保すれば良いという話でもない。

 

静岡県は市町が進めている学童保育施設の新設や学校の空き教室改修を支援し、児童の受け入れ枠拡充を図っている。今年度は施設が12カ所増え、利用定員数も784人増加した。

 

ただ、学童保育は小学校区単位になっているため、需要のミスマッチが生まれ、待機児童の原因になっているという。今後は、待機児童が発生している市町を中心に施設整備を計画的に支援し、受け皿の拡大で必要になる支援員を確保するため資格認定研修や資質向上研修を実施するとしている。

 

SHIZUOKA Life編集部)

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